岸田首相の拙速と中途半端を見た

国葬の際には、いろんな場所で半旗が掲げられるだろう


8月29日付け朝日新聞は直近の世論調査結果を報じた。

岸田内閣の支持率は47%(前回7月は57%)と急落。

不支持率は39%(同25%)と昨年10月の内閣発足以来最高だった2月の30%を大きく上回った。

また安倍元首相の国葬については、賛成41%、反対50%だった。

 

政治家と宗教団体の「世界平和統一家庭連合(旧統一教会)」を巡る対応については、「評価する」は21%、「評価しない」は65%にのぼったと報じた。

 

 

これを受けて、岸田首相は31日の記者会見で、安倍元首相の国葬への批判が高まっていることから、近くテレビ中継される国会審議に自ら出席し、説明する考えを表明した。

首相は会見の冒頭、「今、政治に対する国民の皆様の信頼が揺らいでいる」との認識を示し、「私が先頭に立ち、政治への信頼回復に取り組まなければならない」と決意を語った。と記事は伝えた。

 

センニンソウの花が咲いた

振り返ってみれば、国葬の主役である故安倍元首相の森友学園、加計学園や桜を見る会、黒川検事長の検事総長への定年延長問題等々、不誠実、欺瞞、改ざん、エコひいきなど、国民の間に政治不信の混乱を生じさせ、挙句は、再度に渡る政権投げ出しだった。

そして、その後もキングメーカ気取りで言いたい放題、やりたい放題を尽くしてきた。

今回の銃弾死についても、選挙応援日程を突然変更して、警護現場を混乱させたことが大きな原因だという記事も読んだ。

 

また、安倍元首相を継いだ菅元首相は、一転し、何も語らぬ、説明せずを徹底して貫いた不誠実を地で行く稀有の首相だった。

就任から1年で退陣を余儀なくされたのだった。

グリーンカーテンではホップの花も



私は今回の岸田首相のこの言葉を聞いて、久しぶりに日本国の首相、リーダーとしての力強い言葉に大いに期待した。

 

 

ということで、9月8日午後1時からの国会中継は録画しながら見入った。

国会中継と言っても、臨時国会が開かれたわけではなく、国会閉会中の衆参両院の議院運営委員会の審査ということで、会議の格付けはだいぶ下がる。

本来、首相本人が閉会中委員会審査で説明するということは多分、例外的な振舞だと思ったが、臨時国会の開催もままならず、背に腹は代えられぬと決断されたのだろう。

 

さて、その議運審査の冒頭、岸田首相は国葬を行う理由として、安倍元首相は

①憲政史上最長の8年8か月にわたって首相を担った

②実績を様々な分野で残した

③諸外国で弔意が表明されている

④選挙中の非業の死の4点を列挙した。

 

ただ、戦後国葬とされたのは、敗戦により米国に占領された日本国の独立や戦後復興を軌道に乗せた吉田茂元首相が唯一であり、そのほかの首相が主に内閣・自民党合同葬として行われたことからすればどこがどのように違うのかと問われた。

憲政史上最長の先例は安倍首相の大叔父にあたる佐藤栄作元首相も当時、憲政史上最長だったし、ノーベル平和賞を受賞し、沖縄返還も成し遂げていることなどがあり、安倍元首相が主な4点の理由で国葬に値すると説明するには説得力としては弱すぎる。

 

また、佐藤元首相の死去時に、当時の法制局長官は国葬について「法的根拠となる法制度がないので、国葬とするには立法、行政、司法の三権の了承が必要」という見解だったと朝日新聞の記事にあった。

確かに、法律で決まりがない以上、三権分立の国家権力の意見を聴取し、決定するという考え方は最も民主的で妥当な方法だと私は思った。

 

ムラサキツユクサは、今年はあまり元気がない

しかし、岸田首相は閉会中審査で頑なに、国葬を決めるのは行政権の範囲内であり、内閣法設置法と閣議決定で実施を決めたのだと、丁寧に説明するという言葉とは裏腹に強弁を繰り返した。

流石に一国の首相となる方々は、自らの主張をたじろぐことなく平然と繰り返し続けるのだ。

そこには、31日の記者会見で語った

「ご批判を真摯に受け止め、正面からお答えする責任がある」

「政権の初心に帰って丁寧な説明に全力を尽くしてまいりたい」

と述べた言葉は形だけに終わった。

 

岸・佐藤・安倍という一族と、今回の問題の元凶となった旧統一教会との実態把握は安倍首相が亡くなっており、「実態を十分に把握することは限界がある」と初めからできない理由を挙げて、前を向かなかった。

 

ただ、少し付言すると、私は、保守派で、日本愛に満ちたように見えた安倍首相がなぜ、韓国生まれのカルト宗教の旧統一教会と手を組んだ、いや、かの教団の教義に照らせば従属させられていたことが、どう考えてもわからない。

単に教団の集票力を利用して自民党における政治権力を掌握しようとしたのか。

しかし、10万足らずの信徒を擁する教団と手を組むなんて、日本国の首相はそんなに小さな人物なのかと落胆してしまう。

路傍のタカサゴフヨウは元気

但し、今回の参議院選挙でも安倍元首相に選ばれた候補は旧統一教会の全面的な支援を受け比例区で当選しているのだ。

統一教会と手を組むほどなら、戦前まで数十年間にわたり植民地として占拠支配した韓国人民に対して、もっともっと丁寧に、真剣に耳を傾け、信頼を回復する努力をしなければならなかったのではないかと思ってしまう。

この安倍元首相と旧統一教会との解明なくして、今回の問題は解決したことにはならないと考えるのは私だけではないだろう。

 

結局、「私が先頭に立ち、政治への信頼回復に取り組まなければならない」と決意を語った言葉は岸田首相のパフォーマンスに過ぎなかった。

私は痛く失望した。

岸田首相の優柔不断と中途半端な姿勢だけが際立った。

国民はこの体たらくをどう評価するのだろうか。

 

次の世論調査結果が気になる今日この頃です。

 

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