銃弾に斃れた安倍さんが残した、旧統一教会問題はニュースを見聞きし、読めば読むほどとてつもない異常な構造が浮かんで来る。
安倍政脈の限りない闇が、山上容疑者の犯行により端無くも現れ出てきたのだ。
旧統一教会に母親を奪われた山上容疑者は犯行の前日、安倍元首相を追っていた岡山で手紙を投函した。
あて先は松江市のフリーライターで、旧統一教会への恨みが綴られていたと朝日新聞の記事にあった。
その手紙の中で安倍元首相について
「安倍は本来の敵ではないのです」
「安倍は統一教会のシンパに過ぎません」
「安倍の死がもたらす政治的意味、結果、最早それを考える余裕は私にはありません」
と書いていたとあった。
また逮捕後の取り調べに対して、山上容疑者は
「統一教会に母親が献金して生活が苦しくなり、恨んでいた」
「トップを狙おうとしたが難しく、安倍氏が統一教会と近いので殺そうと思った」
そして
「金がなくなり、7月中には死ぬことになると思った。その前に安倍氏を襲うと決めた」
と供述したという。
当初のこのような供述を聞いて、安倍さんも因業ではあるけれど統一教会への恨みの道連れにされたのかと、気の毒に思った。
だが、その後はだいぶ違う展開なのではないだろうか。
旧統一教会がこれほどまでに日本政界に入り込んでいたことに驚いた。
驚いたというよりも、怒りがこみ上げた。
旧統一教会は私たちの若いころは、街中で小さな花束を売りながら、入会の勧誘をしていた。
そして、特に耳目を集めたのは桜田淳子が参加した集団結婚式だった。
でも何だかインチキ臭い宗教という印象はぬぐえなかったが、今度の事件が起こるまで、「統一教会」から「世界平和家庭連合」と名前を変更して、日本政界へ進出していたことを全く知らずにいたのだった。
それにしても私の怒りは、日本の政治家の政治哲学や理念なき姿に対してなのだ。
表では日韓関係が冷え切ったままの両国は、竹島問題や慰安婦や徴用工など暗礁に乗り上げて方向性すら見いだせない状況が続いているにもかかわらず、韓国を発祥とする旧統一教会への前のめりのかかわり方に、違和感と怒りと情けなさを感じざるを得ないのだ。
旧統一教会をまともに研究したわけではないが、日本宗教学会元会長 島薗進東京大学名誉教授によれば
「旧統一教会の教えでは、この世は悪にまみれた堕落した世界だ。
旧約聖書のアダムとエバ(イヴ)に罪の元がありエバが悪魔と関係したことに由来するという。
植民地支配で韓国を苦しめた日本はその悪を代表するエバ国家で、韓国は正義を代表するアダム国家だとする。
そこで日本は韓国に貢ぐことが使命とされ、旧統一教会の韓国や米国での活動資金を提供する責務があるとされる。」
さらに、統一教会は
「つぼ、印鑑、数珠を途方もない高値で売る霊感商法も展開した。
買わないと先祖の因縁で不幸になるなどと言い、80年代以降、深刻な被害が広がった。」
「0年代の終わりから90年代にかけては『合同結婚式』が注目された。
『祝福』といい、神が認めた相手と結婚し、罪から自由になるという教えだ。
韓国人の男性と日本人の女性のカップルが多く、7千組ともいわれている。
多くの日本人女性が韓国の農村に行き、奉仕の生活を求められた。」
と7月31日の朝日新聞紙上で述べていた。
ウィキペディアによれば、こうした統一教会についてはすでに欧米ではカルト宗教とされている。
日本はエバ国家で「サタン(悪魔)の国」であると反日教義が教えられている。
文鮮明教祖の教え(教義)の一つとして文教祖の恨(ハン)を晴らすのは「エバ国家日本をアダム国家韓国の植民地にすること」
「天皇を自分(文鮮明)にひれ伏させること」としているのだと記述されているのだ。
日本国民を代表する国会議員なら、このようなことはほとんど常識として知っていなくてはならないし、知らないで日本国民をまさしくカルト集団に追い込む片棒を担いでいたことこそ、国会議員としての資格はないと言っても過言ではない。
当選したいばかりに、こうしたカルト宗教、統一教会の宣伝活動に利用された恥ずべき国会議員たちなのだ。
そしてその当選者の選別の首謀者となっていたのが、誰あろうか安倍元首相だったことが明らかにされつつある。
その構図が今解き明かされようとしている。
何が国葬か。
国民はもっと怒らなければならない。
私は心からそう思う。
昨夜のBS/TBS報道1930の中で今回の問題で、全国会議員710人にアンケートをした内容についての報告があった。
536人(75%)から回答のあったうち旧統一教会と関係があった議員は78人10.9%)、そのうち自民党は60人の議員が関係があったと報告していた。
マスコミの報道力の劣化が指摘される中で評価に値する調査であり、報道姿勢だと思ったのは私だけだろうか。
こうした中で、私は二人の国会議員の発言に注目した。一人は2015年当時の下村博文文部科学大臣だ。
彼は文化庁が18年間認めなかった「旧統一教会から世界平和統一家庭連合」への名称変更を初めて認証したのだった。
そして、その理由として「行政上の不作為だとして法的に訴えられれば負ける可能性があり受理することにしたいという文化庁担当者の報告があり」認証したが、今となったら責任を感じると述べたことだ。
文化庁担当者の報告に責任を転嫁しているように見える。
それまで18年間にわたり受理をしてこなかった国の姿勢についての説明が一言もなく、現担当者が負ける可能性があると言ったからでは、全く説得力がないと言わざるを得ない。
もう一人は自民党福田達夫総務会長の「正直に言うと何が問題なのか僕にはよくわからないです」という発言だ。
恐らく、統一教会とはまったく関係のない私には問題は全くありませんということを自慢したかったのではないかと憶測するけれども、この言葉も責任ある政治家のいうことではないと市井に生きる普通の人たちは普通に思う。この問題を聞いて何が問題かわからないと発言する姿勢こそ政治家失格だ。
福田さんはなかなかのお人と評価していただけに全く残念だけれど、政治家の発言は重い。退場に値する失言ではないだろうか。
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