1980年代「燃えろ岡山」のキャッチフレーズで、岡山県主導の一大県民運動が始まった。
もともと岡山県民は冷めている、付き合いにくいという県民性が指摘されていた。
評論家の大宅壮一は
「岡山県は日本のユダヤである。
岡山県人の歩いた後には草も生えない」
と言ったと聞いたことがあった。
でも、日本最初の孤児院は岡山でできた。
民生委員制度の先駆けとなった済世顧問制度も岡山で生まれた。
企業メセナの先駆けは、倉敷の大原美術館だ。
ボランティア精神の豊かな土地柄でもあったのだと思う。
ただ、高校を出るまで広島県で育ち、岡山県人となった私にはやはり、広島カープやサンフレッチェ広島を持つ広島県と比べて、地域経済力の差もあるけれど組織的な行動力や目標に向かう結集力の差が決定的に違っていたのではないかと思う。
「燃えろ岡山」県民運動では燃えろ岡山音頭も作られた。
歌手三船和子、作詞石本美由紀、作曲市川昭介、歌詞は一番から五番まであった。
その一部を紹介すると
「 朝日が彩る 瀬戸の海
夕陽が彩る吉備の里
みんなの心が 燃えるいろ
ふるさとづくりの 血が通う
燃えろ岡山 明日へ燃えろ
揃う気持ちの手拍子で パッと燃やそう こころ意気」
という一番の歌詞だが、歌った覚えも聞いた記憶もまったくない。
当時県内各地でいろんな盛り上げ行事が開催されたようだが、「燃えろ岡山」県民運動は盛り上がることなく忘れられ消え去った。
しかしここのところ岡山県もだいぶ変わってきたように思う。
その変化の一番手となったのが渋野日向子の出現である。
2019年全英オープンに初出場で優勝してしまった。
シンデレラガールとして一躍時の人となった。
渋野日向子の笑顔を絶やさないサービス精神や物怖じしない堂々とした態度は、これまで見てきた岡山県人とはだいぶ違って見えた。
岡山県の女性では、アムステルダムオリンピック女子陸上800メートルメダリストの人見絹江やバルセロナオリンピックとアトランタオリンピックの女子マラソンでメダリストとなった有森裕子を思い出すが、両者ともかつての伝統的な真面目な真面目な岡山県人だった。
また、プロ野球オリックス・バッファローズの山本由伸投手の活躍も目を見張らせる。2021,22年連続投手5冠東京オリンピックでも金メダル獲得に貢献した。
岡山県備前市出身である。
そして、最近の岡山県のスポーツや文化、芸能分野の活躍はどうだと言いたい。
いや言わせてほしい。
昨年からに限っても、全日本吹奏楽コンクール高校の部の岡山学芸館高校は5大会連続、8回目の金賞を受賞した。
また、暮れの全国高校駅伝男子は岡山県倉敷高校が3回目の優勝を果たした。
芸能分野でもM1-グランプリで2022王者に輝いたのは岡山県津山市出身のウエストランドだった。
こうした中で、極めつけは今年のサッカーの全国高校選手権でチャンピオンとなった岡山学芸館高校の活躍だった。
サッカーのーJ2ファジアーノ岡山はリーグ3位で終わり、JI昇格はならなかったが、前評判にも上らなかった学芸館が魅せるサッカーで、サッカーの面白さ、魅力を全国に発信した。「燃えよ岡山」県民運動では燃えることのなかった私も手に汗握り、燃えた。
晴れの国岡山が今燃えている
追記 今年1月に行われた高校女子バレーボール全国大会に岡山県代表として出場した就実高校は3連覇がかかっていたが、コロナ陽性者が出たため残念ながら棄権となった。
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