学校吹奏楽部はどこへ行く


先日、東洋経済メールから「吹奏楽文化」あと20年で消える?学校から「部活」切り離す前に考えたいことという記事が配信されてきた。

吹奏楽については多少関心があり孫との話のネタになるだろうと読んでみた。

 

『日本の学校吹奏楽を科学する!』の著者である愛知教育大学教授の新山王政和氏と、一般社団法人全日本吹奏楽連盟理事長を務める石津谷治法氏が語り合ったとあり、学校吹奏楽部をめぐる課題について論点や実態が述べられていた。

 

その中で、私が注目したのは2022年度文化庁では「地域部活動推進事業及び地域文化倶楽部(仮称)創設支援事業」の募集がスタートし、文化部活動の地域移行などが検討され、実施に移ってきているという話だった。

 

このことについて、石津谷氏は

地域移行するとしても問題となるのは「人・場所・予算」です。

自治体の方からは財政的に地域で部活動に代わる団体を急に作るのは難しいという話を耳にします。

まず指導者が必要になりますが、これまで公立の学校教員がボランタリーでやってきたことを誰かに任せれば、新たなお金の出どころが必要になる。

地域によっては公民館などが少なく、場所の確保が難しいケースもあるでしょう。

 

吹奏楽の場合は楽器の管理などを考えると、なおさら学校を使わざるをえません。

僕は学校から部活動が切り離されてしまえば、子供たちに平等の機会を与えてきた今の吹奏楽文化が、あと20年ほどで消えてしまうのではないかと本気で危惧していますと述べている。

睡蓮だろうか



国は過熱する学校吹奏楽部の現状をこのまま放置するわけにはいかないと考えているのだろうと思う。

確かに、親から伝わってくる、県内高校の様々な吹奏楽部活動について聞くと、「えー、そんなことになっているの」というようなことはいっぱいある。

具体的には高校進学の際の、勧誘や奨学制度や大学進学の際の有名私大への推薦制度などいろいろ優秀な生徒にたいして優待制度が用意されているようだ。

 

 

このような加熱状況に対する取り組みとしては2018年に文化庁から「文化部活動に関する総合的ガイドライン」が発表され、

「学期中は週当たり2日以上の休養日を設ける」、

「1日の活動時間は、長くとも平日2時間休日3時間まで」などの指針が示されて、文化部部活の長時間練習に制限を加えた。

 

こうした中で、学校現場でも様々な改善努力がなされているようではあるが、国は単純に加熱することへの対策だけに力点を置いているのではないことが、この事業の募集要項を見るとわかる。

 

文化庁のホームページで令和4年度「地域部活動推進事業及び地域文化倶楽部(仮称)創設支援事業」の募集を閲覧すると

事業目的として、本事業は,学校における働き方改革を推進するとともに,子供たちが継続的で質の高い多様な文化芸術活動の機会を確保できるよう,文化部活動の地域移行に向けた体制構築や持続可能な文化芸術活動の環境整備を行うため,休日の文化部活動を地域へ移行するためのモデル事業【地域部活動推進事業】,及び子供たちが身近な地域で学校の部活動に代わり得る継続的で質の高い活動の機会を確保できるよう,新たな受け皿となる「地域文化倶楽部」(仮称)の創設や持続可能な文化芸術活動の環境整備を行うためのモデル事業【地域文化倶楽部(仮称)創設支援事業】を実施するものである。

と書かれてあった。

休日の文化部活動の地域移行や学校の部活動に代わりうる質の高い活動の機会の確保などについて、新山王氏は

野球やサッカーなどは地域クラブの活動が活発ですが、文化活動で地域格差なく整っているものはピアノ教室くらいしかありません。

また以前から指導員の養成や資格制度が準備されてきた運動部とは状況が異なるため、同じ土俵で議論するのは難しいと思います。

現状のまま学校外へ放り出すと、家庭の経済状況や地域格差によっては、文化芸術に触れることができない子供も出てくるのではないでしょうか。

 

と指摘しており、働き方改革、指導者の確保、部活動と学業との両立、有名校への推薦制度など様々な課題がある中、特に学校経営の柱に吹奏楽部を目玉に据える新たな吹奏楽部伝統校も続々と生まれている。

こうした現状の中で文化庁の「地域文化倶楽部」(仮称)の創設や持続可能な文化芸術活動の環境整備を行うためのモデル事業【地域文化倶楽部(仮称)創設支援事業】を実施するというのは、なんだか急ぎ過ぎのような感じがしてならない。

 

また、ある学校では、コンクール前の休日に学校教師の指導が得られず、父兄側が探してきた指導者の指導を受けさせたところ、指導方法の違いから子供の側が混乱をきたして、期待した成績を得られなかったことがあったと聞いた。

 

さて、高校に通う孫娘は小学生から吹奏楽部に所属して練習に励んできた。

夏は全国大会の予選会が各地で開催され、ジジババも、すわ、鎌倉とばかりに応援に駆け付けている。

ただこの2年は新型コロナ感染防止で、中止されたり無観客開催となっていた。

今年はコロナ禍、最大の感染拡大となっているのだが、行動制限はなく、家族関係者に限って入場が認められた。

コンクールのチケット



岡山高校界の吹奏楽部事情は余ほどの事情通でないと知らないと思うが、今や全国区並みの激戦区で競争が激しい。

 

全国大会連続金賞受賞中の岡山学芸館高校を筆頭に、全国大会連続出場中の明誠学院高等学校、昨年に続いて中国大会出場のおかやま山陽高校、就実高校とほぼ指定席が決まっており、岡山の高校のレベルは全国的にも大変高いというのがこのところの評価だ。

 

こうした中で、孫の高校も県大会出場となったが、上記の4校の指定席を覆すことは至難の業だ、しかし、親ばかならぬジジバカ、課題曲はやや雑だったけれど、自由曲は音楽性豊かな演奏でこれはなかなかの出来だと期待した。

けれど、結果はやはり落選だった。

カミさんが食べた麺御膳

+ランチをホテルのレストランで摂っていたら、4人連れが入ってきた。

女子高生を連れた担当教師と、女性と男性二人の連れ。

お互いに名刺交換をして商談風。

マスク越しの会話は聞き取れなかったが、感じから進学予定の大学関係者からの説明を聞くような、推薦かスカウトのような趣だった。

私のランチはこれ。企業努力の感じられる盛りだくさんの内容だった。



私の孫も全力で頑張った吹奏楽に魅了されて、将来の目標ができたようだ。

将来は教師になって、吹奏楽を指揮したいという目標ができたという。

最短で6年後になるが、子供たちを連れて大会に出て指揮棒を振るのだそうだ。

これから6年は長いような気がしたけれど、「だから長生きしてね」と孫に言われて、涙腺が緩んだ。

 

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