先日の夕方、日常の私の役割となっているお風呂洗いを終えて、風呂ができるまでの間にと、パソコンの将棋アプリを開いた。
いつもは将棋盤の周りに、様々な広告が表示されているのだが、今日は将棋盤を覆うように、無記入の白紙が出ていて、この表示をクリックして消してくださいとあった。
もちろん、これを消さないと将棋ができないので何のためらいもなくクリックした。
すると、クリックしたとたんに画面が切り替わり、緊急の警告音とともに、女性の抑揚のない落ち着いた声で「異常な行使がありシステムが停止しました。
パソコンを終了しないでください。
マイクロソフトのアカウントとパスワードを入力して指示に従ってください。
ご不明な場合は表示されている番号にすぐに電話してください」と流れた。
この音声は、パソコンを開いている間中、繰り返し繰り返し流されていた。
まず、パソコンを終了しないでくださいという言葉に困ってしまった。
マイクロソフトのアカウントとパスワードと言われても、すぐに出てくるはずもない。
マイクロソフトのロゴマークが表示され、その下に住所や電話番号があった。
表示されていたマイクロソフトの電話番号を入力した。
電話がかかったとき、画面の下にはアメリカ時間が表示されているのを見て、アメリカにかかるのかと思ったのを覚えている。
電話はすぐにつながった。
ドコモやスカパーなど時々電話を掛けるが、こんなに早くかかるのはマイクロソフトだからかなあと思った。
電話に出たのはたどたどしい日本語を使う外国人だった。
彼は私の電話番号と名前を聞いた。
私は携帯番号と姓だけ名乗った。
それから彼はキーボードのEscを押すように指示した。
ウインドウズキーやFnキーなどの操作も要求した。
が、たどたどしい日本語とパソコンが発する女性の声が混じって、老人の理解が進まない。ただ、何とか相手の指示に従っていると、相手の言う通りの画面が出てくる。
スピーカー音が大きいことに相手方が気づいて、向こうで操作して音量を下げたりするので、そういうことができることにマイクロソフトの関係者と思わせるところがある。
そして、こちらに表示した画面上に赤のマジックで、ハッカーと書いた。
私のパソコンはハッカーに侵されていると言っているように想像した。
それから、「契約、契約」という言葉を発した。
そして画面上に勤務先や住所、電話番号の表示とともに彼の写真を張った身分証明書を提示したのでカメラに収めた。
それで私は「直すには、お金がかかるということですか」と聞いた。
彼は即座に「かかる、かかる」と言った。
「いくらですか。」と聞くと画面に、値段表を提示した。
私も少し落ち着いてきて、その画面をカメラに収めた。
何か半信半疑だった。
ただ、私は、「すぐには決められないよ。今すぐなんて決められない。直すかどうかも含めて検討しますよ。」と言った。
修理の値段は5年間保証4万円、10年間保証6万円、一生保証7万円と書いてあった。
彼はさらに「すぐにすぐに」と続けたが、返答しないのであきらめて電話を切った。
そこに、休みだった息子が入ってきたので、事情を話した。
パソコンはまだ女性の声が流れ続けていた。
息子は「こんなん早く切って」とパソコンを閉じた。
それから、スマホを検索して「マイクロソフトのサポートを装った詐欺にご注意ください」という長い記事があると教えてくれて、「これは詐欺じゃ」と言った。
しかし、パソコンが相手側から遠隔操作されたのは、どんな手法なのか。
マイクロソフトの技術があるからなのか。
それが可能だったらマイクロソフトはどのようにでも世界を支配できるのではないか。
しかし、全くの第三者が悪用して、パソコンの中にある情報を盗み出すこともできるのではないかとも思った。
パソコンを愛用する後期高齢者の退職老人は依然として不安を抱えているが、今のところ悪用された兆候はない。
恐らく、パソコンの状態をハッカーやウイルスのせいにして、故障と称し、修理代を搾取する魂胆なのだろうと想像した。
いずれにしても、私の生活はパソコン抜きの生活には戻れない。
予防するとしたら、あまり使っていないパソコンに変えることが今できることだろうと常用するパソコンを変えた。
パソコンって五里霧中の中を進むようなものだ。
パソコンからの情報は信じてはいけないということをパソコンが教えてくれたのだと肝に銘じた。
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