8月18日の朝日新聞1面は、9歳4か月小学3年生藤田怜央君を9月1日付けで囲碁棋士としてプロ採用すると囲碁の関西棋院が発表したと報じた。
そして、2面では将棋の島根県出身女流棋士の里見香奈女流五冠が男性と同じクラスで戦う、棋士編入試験を受験する。若手棋士5人と対局し、3勝すれば合格し棋士として認められる試験だと解説していた。8月18日から挑戦するとあった。
囲碁の世界では年少者の天才の発掘を目指し、将棋の世界では再挑戦制度で門戸を拡大し、それぞれの分野の成長を模索しているように思う。
私は囲碁は岡目八目のザル碁だが、将棋は子供の頃から親しんで、父とは1万局以上指した。
父は94歳で亡くなったが、入院する前日にもまだ元気が残っていたのだろう、将棋をするというので相手をしたが、その将棋は私が負けた。
その将棋が父との最終局になった。
父は入院後1週間して亡くなった。
新型コロナが流行する前までは月一度の将棋倶楽部の例会に出ていたが、コロナの感染拡大で例会が中止になって2年以上になった。
それでインターネットでAIを相手に将棋を指すようになったが、AIは強い。
それはそうだ。
今では将棋界でもAIと公式戦で将棋を指すことは禁止されている。
人間がAIに勝てなくなったのだ。
それで、今ではAIが棋士たちの対戦の次の一手を予測したり、優劣を判定する役割が定着している。
これは囲碁の世界でも同じで、世界チャンピオンがAIに負け続け、囲碁の世界でもAIとの力関係ははっきりしてしまい、今では対戦はないようだ。
でも、AIとの将棋は気遣いがいらないのがいい。
人間との対戦は勝ちか負けかだけではない。
そこに至る様々な心理戦が左右する。
自信たっぷりの相手の態度や表情、時に漏らす何気ない一言にも気持ちが動かされるのだ。
そこが面白いところでもあるのだろうが、AI相手にはひたすら勝つ一手に集中できるのがいいのだ。
今は初段クラスで指している。
何度か初段を突破したのだが、二段クラスに上がると全く勝てない。
初段と二段のクラスの違いがきちんとプログラムされていることに驚く。
読みの違いや差が見事に差別化され、計算されているのだ。
この壁はもはや私の棋力ではいかんともしがたく、勝ったり負けたりの初段クラスで今では満足している。
さて、昨日(18日)里見香奈女流五冠の棋士編入試験が始まった。
スカパーの囲碁将棋チャンネルで生放送があると知って、甲子園大会準々決勝とチャンネルを切り返しながら観戦した。
初戦の相手は徳田拳士四段。
今年4月プロデビューし、デビューから通算12勝1敗の新進気鋭の若手だ。
デビューというのは将棋棋士になる養成機関の奨励会に入り、最上位の三段リーグで2位以内に入ると四段に昇段し棋士としてプロと認められるのだ。
これまで何人もの女性が挑んだが、ことごとく跳ね返された。
もちろん、里見女流五冠も1級で奨励会に入り、三段リーグで年齢制限にかかり退会したという過去がある。
通常、棋士になるには奨励会三段リーグを卒業しないとなれないのだが、2006年編入試験が設けられた。
棋士になるためのもう一つの制度である。
女流棋士やアマチュアが公式戦でプロ棋士と対局し、直近の対局で「10勝以上」かつ「6割5分以上の勝率」で受験資格を得られることになっている。
ということで、里見女流五冠は本日の挑戦に至ったのだ。
解説は将棋界のレジェンド、羽生善治元七冠。
将棋はAIアマ初段の私が言うのもおこがましいけれど里見五冠の完敗だった。
中盤から終盤に入る手前までは、羽生七冠の解説でも有望かなと思わせたし、一時AI予測でも、里見5冠の30%勝利予測が50%までに戻った局面もあったけれど、終盤は矢弾尽き果てて散った。
将棋を勝ち切ることは難しい。
けれど、一局は終わり、新たな一局が始まるのだ。
同じ中国地方に縁のある者の一人として、あの「男女平等は絶対に実現しえない、反道徳の妄想です」と言い放った杉田水脈衆議院議員に目にもの見せてやりたいものだ。
そのためにも頑張ってくくださいとお願いしたら、お門違いですと叱られそうだ。
ごめんなさい。
とにかくここは里見女流五冠に棋士(男性)と互角以上に戦う姿を見せて、ぜひ勝ち切ってほしいとエールを送りたいのです。
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