令和3年大相撲名古屋場所は、横綱白鵬が全勝優勝で45回目の賜杯を手にした。
千秋楽は大関照ノ富士との全勝対決となり、熱戦の末、白鵬が制した。
ただ、立ち合いの白鵬の右ひじのかち上げや張り手の応酬など白鵬は勝負の執念に終始した。
確かに勝利したときの横綱白鵬の形相はまさに鬼の形相と言えた。
観覧席の白鵬夫人が泣いていた。
子供たちも涙を流していた。
多分負けたら引退の覚悟だったのだと思った
全勝対決の取り組みに、横綱としての品位を欠くなどの批判が集中した。
横綱審議委員会矢野委員長は
「おかしい、見苦しい、横綱にあるまじき振る舞い」
「どう見ても美しくない。多くのファンからヒンシュクを買っている。勝つためには手段を択ばないという思いを抱いた人が多かったのではないか。これでは大相撲はすたれていくという、深い懸念を共有しました」と批判したという。
また、NHK相撲解説者の舞の海は「立ち合い、肘打ちいきましたね。……勝利への執念といえば執念なんですけど見方を変えると、そこまでして勝ちたいかなという、そういう人もいると思うんですよね」と苦言を呈していたとあった。
そして、同じ解説者の元横綱北の富士は14日目大関正代との相撲について、
「とても正気の沙汰とは思えない相撲であった。
ひと言で言えば、手段を択ばず勝てばいい気持ちが露骨に出た相撲といえる。
……私は今までは白鵬の理解者と自負してきたが、この日を限りでやめることにした。
……この相撲ばかりは理解できないし、愛想が尽きた」と白鵬に三下り半を投げつけている。
第69代横綱白鵬が誕生したのは2007年7月、今から14年前、14年間も横綱を張っているのだ。空前絶後の大横綱だ。
第68代横綱は同じモンゴル出身の朝青龍が一人横綱として頑張っていた。
朝青龍も強い横綱だったが、どちらかというとトラブルメーカー、ヒール役だった。
白鵬が登場すると、その白いどっしりとした体躯とさわやかな顔つき、当時は正々堂々とした態度に、日本人以上に日本人的な横綱として先輩横綱朝青龍をしのぐ人気を得ていった。
朝青龍が不祥事で引退した後、同じモンゴル出身の日馬富士が横綱になるまでの5年間を、一人横綱として大相撲の屋台骨として頑張り通したのだ。
そして、2014年にモンゴル出身横綱の鶴竜が誕生、2017年には待望の日本人横綱稀勢の里が誕生したが、後輩の3人ともすでに土俵を去って、一人、大相撲を支えてきたのだ。
以前私はこのブログで
「横綱は休場しても地位が下がることはない。
大相撲の八百長問題は年6場所制ではガチンコ勝負では体が持たないことも原因ではないか。
大相撲は年4場所程度にするか、ひと場所10日間程度に短縮すべきだ。
横綱白鵬は横綱の特権を最大限活用して、体調を整えて出場しているのだ。
だから、休場明けの場所はたいてい優勝しているのだ。」
と書いたことがある。
また、悪評のかち上げや張り手についても反則であれば、即退場、休場させればいいことだが、そうできないのはルールに違反した行為ではないからだろう。
横綱の品位の問題も、日本人としては少し残念ではあるけれど、横綱昇進時から本当に、元気な時は素晴らしい品格のある横綱像を見せてくれていたのだ。
大相撲はこのほぼ15年間を横綱を張り続けた白鵬に頼ってしのいできたのではないか。
すでに引退の二文字が大きくなってきた大横綱白鵬の土俵の美学や出処進退は、白鵬自身が決めればいい。土俵外のものがとやかく言うべきではないと思う。
場所後、横綱白鵬の土俵上の振る舞いについて、直接本人に注意した日本相撲協会の八角理事長(元横綱北勝海)は他方では「白鵬は立派だ。勝負に徹したということだろう。」と淡々といったという。
大横綱白鵬の必死さこそ称えられるべきではないかと私も思うのだ。
白鵬頑張れ!
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