赤木ファイルから想起した公務員の有り様

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むくげの花がもう満開



一昨日(6月22日)国は、その存在を不明のままにしていた「赤木ファイル」を開示した。

 

これまで国会で野党が要求してきたにもかかわらず一切応じようとしなかった。

安倍政権を継承した菅政権でもその態度は頑ななように見えたが、ここにきての一転開示とは、これは一体どういう政治力学が作用したのか、とても地裁の要求や世論の動向を気にして反省したとは、これまでの政権の体質から思えないのだ。

 

とりあえず、菅総理としては第一当事者ではないという他人事思考からか、あるいは、今後の政権維持への示威行動からか、はたまた世論対策からか、魑魅魍魎の駆け引き、思惑、はしご外しなどなどを思い浮かべてみたが、凡庸なる田舎の老人には想像だにできないことだった。

しかし、「赤木ファイル」の新聞に載った「抜粋」などを読んでみると、ごくごく普通の役人の世界、よくある話の一コマのようにも思えた。

 

私は地方の片隅の役人世界しか知らないけれど、国から天下りや出向で来る人たちにも何度か仕えた。

その経験でいえば、一緒に仕事をする仲間になれば、よい人たちが多い。

もちろん、どこにも例外はあるけれど。

 

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傾斜地に咲くガクアジサイ

キャリアという一種試験に合格した人たちにも2種類あって、成績上位で採用された人は常に上を向いて仕事をするし、到底、出世が望めない下位採用組は行き先が見えているということから、私たち地方のものと同じような気分で仕事をしているように見えた。

国から来たある局長は私に「上級職は入った時の成績と配置先で、自分の行く末までもわかるんですよ」と自嘲気味に教えてくれた。

 

今回の「赤木ファイル」を残した赤木さんはキャリア採用組ではないだろう。

地方支局・事務所に勤務し、日常発生する事務処理や現場処理に黙々と取り組んでいたに違いない。

たいていの国家公務員や地方公務員はそれが仕事なのだ。

 

従って、決裁を完了した起案文書の改ざん、書き換えを本省から命じられたとなると誰だって抵抗するのは当然のことだ。

でも、すべては本省で責任を取るといわれたら、普通は「しゃあないな、すまじきものは宮仕えよ」と応じてしまうことが多いのではないかと経験上、想像してしまう。

 

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鮮やかな花色のタチアオイ。街路樹の下に咲いていた。

朝日新聞による「赤木ファイル」の抜粋は

①備忘録として「修正等の過程を記録」しておく。

安倍昭恵氏の写真「学園が提示」の文言を削除。

財務省の指示後、「ご指示に従い、大幅にカットさせていただきました。」という抵抗感のある確認行為の記述。

④「今後、会計検査院の受験を受ける当局としてすでに意思決定した(売り払い)調書を修正することに疑問が残る」とした意見陳述。

 

などに赤木さんの強い反対の意思が見て取れ、普通の公務員にはない実直さ、純粋さが伝わってきた。

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くちなしの白い花 



ただ、この「赤木ファイル」に示されていることが赤木さんが自殺に追い込まれた直接的な原因とは素直にうなずけないのだ。

改ざんは事務方トップの指示によるものであり、反対の意思表明をしてなお、本省が責任を取るといわれた中で自死を選ぶものかと疑問を持つ。

 

むしろ、これをきっかけとしてもっと深い闇、例えば首相夫妻の関与やこの森友事件の発端となった8億円余の国有地値引き売却などへの具体的な追及をおそれていたのではないかと想像してしまうのだ。

 

いずれにしても、この事件は赤木さんが個人でしてきたものではなく、初めから組織的に取り組んでおり、なぜ死ぬことを選択しなければならなかったのか、徹底的に事件は解明されなければならない。

 

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