テレビで路線バス番組をよく見る。
テレビ東京系列の人気番組は「ローカル路線バス乗り継ぎの旅」。
以前は太川陽介と蛭子能収とゲスト一人を加えた3人のバス旅だった。
最近は蛭子さんが降板し、田中要次と羽田圭介とゲスト一人を加えたバス旅や、バス旅と鉄道との対抗戦や各所の名産品や名所を陣取りして目的地にたどり着くなど番組構成に工夫を凝らしている。
テレビ朝日系列では徳光和夫の路線バスで寄り道の旅、フジテレビ系列ではタカトシ&温水の路線バスの旅などいろいろある。
それでも元祖「ローカル路線バス乗り継ぎの旅」が面白い。
何といっても時刻表も持たずに路線バスだけで数百キロ離れた目的地に3泊4日でたどり着く、ハラハラドキドキの旅が面白いのだ。
先日の「ローカル路線バス乗り継ぎZ」第16弾は岡山・後楽園~山口・錦帯橋だった。
地元である私としては、おおよその地図は頭の中に入っている。
ただ、高速バスを使わずに中国山地を越えることができるのだろうかと初めから疑問を持っていた。
番組では岡山から直接北上して伯備線や津山線、芸備線の交叉する新見市に向けて行くルートと山陽道を西下して、とりあえず尾道市を目指すルートが頭に浮かんだ。
ただ岡山県の北上ルートは、新見市まではたどり着くだろうけれど、それから鳥取県に入っていくバスルートは考えられなかった。
今や地方の山間部では路線バスが県境を越えるルートは想像できないほど少なく、県境の壁は高くなっている。
私は少年時代、広島県の県北、岡山県との県境の町に住んでいたが、当時の地域交流スポーツ大会といえば隣接する島根・鳥取・岡山の4県4郡大会の開催だった。
4県4郡の町の中で最大だった私の町はオリンピックのアメリカ合衆国のような活躍をしていたことを思い出だす。
しかしながら、高度経済成長の発展の中で、新幹線、幹線鉄道網の整備、高速道路網の整備などにより近くの弱小地域システムの連携は壊れて、地方の時代と言われながら地方の中心都市や大都市直結の中央集権化に繋がっていったように思う。それが平成の大合併ではなかったのではないだろうかと路線バスの旅を見ながらの感想だった。
ということで、今では路線バスが通わぬ県境に大きな壁が出来上がったのだ。
出演者たちはいろいろと情報を取りながら北ルートを断念し、尾道市へと進路をとった。
山陽道なら県境を越える都市間交通としての路線バスはまだ健在だろうと思った。
問題は尾道市から北ルートで本当に行けるだろうかと危ぶんだが、尾道市から三次市までは路線バスが通っていた。
問題は三次市から島根県に抜ける路線バスなどあるのかなあと見ていたが、島根県赤名というところまではバス路線があった。
ただ、その先は不明と案内所でも言っていた。
しかし一行はこれしかないということから赤名に向かった。
赤名に到着すると同じバス停に町営バスがあることがわかり、最終バスでギリギリセーフ。
この奥深い田舎では自治体運営のコミュニティバスがいろいろとつながっており、雲南市に入れば道の駅で雲南市民バスに乗り換えて、三刀屋バスセンターまで行き、そこから路線バスに乗り継いで出雲市に向かった。それぞれ最終バスにやっと間に合うという幸運も手伝って、出雲市駅に到着したのはすでに午後8時という強行軍だった。
翌日、出雲大社にお参りした後、一行は再び三次市に戻る路線を選択し、目的地の岩国市錦帯橋までたどり着いたが、路線バスが廃止されていく中、奥深い山間地では自治体バスが住民の生命線となっていることを改めて教えてくれた。
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