横断歩道を渡ろうとする人がいたら、あなたは止まりますか。

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いささか旧聞に属するが、新聞を読んでいて目に止まった記事があった。

朝日新聞2020年2月1日のオピニオン&フォーラム欄の『さよなら車優先社会』というページで、事故をなくすにはどうすればいいか論じている。

 

その中で、信濃教育会会長の後藤正幸さんの「日々の生活から心育んで」というお話が心に残った。

 

交通ルールでは横断歩道を渡ろうとする歩行者がいた場合、停止して道を譲ることになっているが、実際は止まらない人のほうが圧倒的だ。ところが長野県では多くの運転手が、横断歩道できちんと止まり歩行者優先が徹底している。

それは次のデータが示すとおり。

 

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信号のない横断歩道で渡ろうとすると車が止まる割合

日本自動車連盟、2019年調査)上位5は

長野県 68・6%

静岡県 52・8%

兵庫県 43・2%

島根県 41・2%

新潟県 36・2%

 

逆に下位は

東京都 5・8% 富山県 5・3% 京都府 5・0% 青森県 4・4% 三重県3.4%

全国平均17.1%

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長野県のトップは調査の始まった2016年から毎年連続ということだ。

 

長野の運転手が横断歩道で停止する理由としてよくあげられるのが、「道を渡った人が運転手に対して、丁寧にお辞儀をするから」というものだそうだ。

そして、その運転手の多くはかつて横断歩道で停止してもらった子どもたちだ、というのだ。

その子どもたちは運転するようになったら、また、横断歩道で停止してあげようと思うようになるのに、不思議はない。

 

 

そして丁寧にお辞儀をする子どもたちは、長野県に連綿と続く全人教育の成果だと、後藤氏は言われる。

つまり、交通事故をなくすためという目的に対して努力したというわけではなく、全人教育を行った結果として、交通マナーも良くなったと言われるのだ。

交通マナーの良さは、乗降時の挨拶や、商品を受け取ったときのお礼など生活のありとあらゆるところで息づいている習慣の一端で、他の府県が真似をしようとしても一朝一夕にはいかないだろうとも、後藤氏は言われる。全くそのとおりだと思う。

 

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             沈丁花の開花も今年は早い

 

しかし、小学6年生が12歳だとすると、早ければ運転するようになるまで6~7年だ。

今から始めれば10年後にはその成果が現れ始めるかもしれない。

100年の歴史を重ねるのは遠い話だが、だからといって手を拱いて見ている法はない。

すぐにでも、全国で真似をしてほしいと思う。

 

ところで私は通勤に路線バスを利用していたが、岡山県東部にある当地方では、小学生が乗降時に運転手さんにきちんと挨拶するのが印象的だった。

今はどうなのだろう。

 

これは学校が指導しているのだろうか。家庭の躾なのだろうか。

道ですれ違うと、大きな声で挨拶する子供も多い。

 

長野県のようになるには、どこに対してどのように働きかければいいのか、私にはよくわからない。

せいぜいここで感想を述べるくらいだ。

バスに乗る機会も少なくなって来たが、運転免許証を返納して、バス代が半額になったかみさんは、降りる時その感謝の意味も込めて、素直に

「ありがとうございました」と言えるようになったそうだ。

以前は「お世話になりました」と挨拶していたらしい。

その程度ではなかなか長野県のレベルまでは程遠いが、我々ができることから実行したいと思う。

 

私も、横断歩道で待つ人がいたら、必ず止まるようにしよう。

横断歩道の前で止まって、感謝の意を示されるととても嬉しい。

だから、歩いている時、止まってくれた車がいたら、しっかり感謝しよう。

今、私にできることはこれくらいだが、「徳は孤ならず必ず隣あり」だ。

 

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