午後1時30分過ぎに娘一家がやってきた。
今日は今春大学に進学して吹奏楽部に入部した孫娘の吹奏楽コンクールの中国大会に、松江まで娘の車に同乗して行く。
昨年買った日産ノートは安全装置や自動運転走行ができると自慢の愛車だ。
しかし旦那さんと中学生になる孫との5人では、乗せてもらって悪くは言えないのだろうが、やはり窮屈だった。
でも、初めての両親との長距離ドライブ。
娘の喜びが伝わってきた。
山陽自動車道から岡山米子自動車道を走り、蒜山サービスエリアで休憩した。
蒜山アイスクリームを食べながら休憩していると、紺のユニフォームを着た一団が入ってきた。
娘が「多分、Nちゃんの大学よ」と言った。
まさかと思いながら席を立って、駐車場に止まっているバスの運転席の窓を見ると孫の大学の表示があった。
確認して戻っているとチームメイトと歩いて来る孫娘に出会った。
「おじいちゃん」と笑いながら声をかけてくれた。
娘や婆さんに「いた、いた」と報告するとみな席を立って迎えに行ったのだった。
30分以上サービスエリアで休憩して、我々は先に出発。
今夜は老夫婦は松江市内のホテル泊りだけど娘夫婦は大会が終了したら岡山に引き返して、孫たちが戻ってくる深夜に大学に迎えに行くのだそうだ。
午後5時前に今夜の宿泊先である天然温泉だんだんの湯御宿野乃松江にチェックイン。
野乃松江はドーミーインチェーンで御宿野乃を頭文字にいただく旅館風の宿とラビスタを冠するホテル風の宿がある。
一番の特色は、館内は靴を脱いで靴箱に入れ、素足又はソックスを履いて移動する。
また、館内は旅館備えの部屋着でOKだ。
家にいるのと同じくつろぎのスタイルでお過ごしくださいということなのだろう。
ただ、見知らぬ他人と食堂に行くときも、お風呂に入るときも、館内を歩くのも素足で過ごすのが豊かなくつろぎになるのだろうか、はて‥‥と考え込む。
やはり水虫も気になるではないか。
旅館内で外国人は見かけなかったけれど、素足生活が敬遠されたのではないかと思ったりした。
そういえば、ラビスタ函館に泊まった時も靴を脱いでのスタイルではあったが、ラビスタではスリッパを履いていたような気がする。
コンクールの会場は島根県民会館、このホテルから歩いて10分とかからないが、娘夫婦は今夜岡山に帰るので、県民会館に駐車することにして車で向かった。
孫たちの演奏は7時30分からというので、とりあえず、夕食にとせっかく島根に来たので、出雲そばを食べることにして探した。
数軒見つけたがいずれも6時から開業というところが多く、やっと見つけた出雲蕎麦橘屋は今夜私たちが泊まる御宿野乃松江のすぐそばだった。
橘屋は古い建物の一角にあった。
間口の小さな入り口だったが、中は割合広く、4人掛けのテーブル席が4席くらいあった。
私たちが座ったのは囲炉裏風の6人掛けのテーブルだった。
奥には座敷もあるようだった。
私は最初、カミさんと娘と一緒の天ざるを頼んだが、メニューを見ていて大名御膳を見つけて、注文を替えた。
一番若い孫息子は暖かい天ぷらそば、婿殿は割り子蕎麦5枚を注文した。
蕎麦は昔ながらの町の蕎麦屋さん風。
家族経営で一生懸命愛されながら店を続けているようなお店だった。
名物看板を掲げる玄人受けするような、そばの腰とか切れとか、蕎麦の風合い、出汁がどうのこうのと言いながら食べる蕎麦ではない。
けれど一生懸命さがにじみ出ているような蕎麦で私は好感を持った。
蕎麦の盛りの大きさはどうだ。
サービス精神にあふれている。
私の注文した松江松平蕎麦大名御膳は、暖かいシジミ蕎麦と割り子一枚、天ぷら盛り合わせにはエビ天2匹がうれしい。
私は生ジョッキ中を一杯注文した。
値段も有名な蕎麦屋に比べると大変リーズナブルで十分満足したのだった。
それから、我々一行は県民会館に向かった。
島根県民会館は島根県庁と道路を隔てて向かい合って建っていた。
若いころ、一緒に机を並べていた美人の部下が、島根県庁にユーターン就職したことを思い出した。
百万本のバラを歌う彼女の美しい声も耳に残っている。
もちろん私は既婚者であり、一回りも年上であり、才色兼備の彼女をまぶしく見ていたにすぎない。
という思い出などを思い出しながら県民会館には午後7時ころ到着。
演奏中の大学が終わって入場した。
ちょうど、広大の吹奏楽部の演奏を聞くことができた。
しばらくして孫の大学の順番が来た。
今夜の演奏は以前聞いた時よりもまとまりが良く、なかなか良い出来ではあったが、素人ながら広大には負けているなと思った。
孫たちの演奏が終わると、娘一家とともにすぐに会場を後にした。
娘たちはこれから帰途に就く。
ホテルまで同乗し、別れた。我々夫婦は、すぐそばのローソンまで寝酒のビールや酒、つまみを買いに行った。
ローソンのスタッフは黒人系外国人だった。
たどたどしい日本語でわかりにくかった。
カミさんがそばで外国人の日本語をわかりやすく伝えてくれた。
ホテルに戻って、館内案内冊子を読もうと探したが、備え付けてはなかった。
すべてテレビで案内しているようで、大浴場の混雑状況も、男・少ない、女・やや混雑などと表示されていた。
ということで、私はすぐに最上階の大浴場に向かった。
ただ、カードキーを忘れていて、大浴場に入れず、部屋に引き返しカードキーを持って戻ってくるとちょうど中から出てくる客がいて、カードキーを使うことなく入れ替わりに入ることができた。
お湯は熱からず冷たからず大変結構だった。
部屋にはバスルームはなく、シャワールームが設置されている。
この規模のホテルでシャワールームだけという例は初めてだったけれど、考えてみれば、バスルームを全室備えておく必要はないだろう。
もちろん事情によって、大浴場の温泉に入ることが困難な場合もあるだろうから、シャワールームがあればそれはそれで我慢できるのではないだろうかと、こうした知恵を働かす経営方針は大賛成だ。
それからのん兵衛老夫婦は久しぶりの宿泊に乾杯して爆睡したのだった。(続く)
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