私の住む田舎町、平成の市町村大合併で町制から市制に移行した。
町の時代からスーパーの数はあまり変わっていない。
イオン系のマルナカ、広島市を拠点とするイズミを中心に、生協や県内資本のスーパー、農協などがある。
そのほかに最近は食料品や酒類なども扱う薬品系が2,3店舗、ホームセンター系が3,4店舗ある。
また、人気のふれあい市場(農産物直売所)もそばにある。
小売業の激戦区であるが、地域交通の結節点で道路網が東西南北に張り巡らされ、高速道のインターにも近く、隣接自治体に住む知り合いも、スーパーやホームセンターが多く集中しているんで、買い物が楽しいよと言っていたことを思い出した。
こうした状況は数十年ほとんど変わっていない。
変わったのは、地元の八百屋や食料品店などの小売店がほとんど姿を消してしまったことだ。
地元で姿を消した顕著な業種は電気屋さんや本屋さんだ。
電化製品販売はほとんど大手の系列店が支配してしまった。
本屋さんもこの町でも数軒はあったが、今では大手資本の本屋が1軒のみだ。
本屋は時間つぶしにもってこいの場所だったが、やはりパソコンやスマホの普及で、本というものを読まなくなったし、特にお金を払って読む習慣が急速になくなったように思う。
ただ、図書館は結構人気があって、岡山県立図書館は2005年度から2022年度までの18年間に17回、来館者数・貸出件数全国1位に輝いている。
これは自慢してもいいのではないかと思う。
こうした中で、生き残っている分野や新たに賑わっている業態もある。
その一つは理美容店だ。
理美容業界も全国展開をするチェーン店化が広がっている。
私も60歳以上高齢者の割安調髪、頭洗い・髭剃り付1400円を長年愛用しているが、この分野は技術力や接客力、人間関係などを大切にして地元で根強く頑張っている個人店も多い。
また、ラーメン屋をはじめ食べ物屋が頑張っている。
特にラーメン屋は大繁盛で、ちょっと思い浮かべても5~6店舗あり、朝6時の開店から並んでいるお店もある。
理美容店は技術力に値する価格設定であれば、需要は続くということだろうし、食べ物屋も値段に値するうまさがあればファンが付き、継続するということだろう。
もう20年以上前になるが、通りがかりに新しいお寿司屋さんを見つけて、昼食に入った。
まだ若い20代の大将と、お母さんらしき人が笑顔で迎えてくれた。
開店して3日目だと言った。
にぎりの並みが1000円ほどだったと思う。
しかし、食べた瞬間、これはうまいと唸った。
美味しいとカミさんとうなずきながら食べた。
それから10年くらいは年2、3回家族で食べに行った。
最初の頃は、おまかせで一人3000円だったが、5000円になり8000円になった。
流石に安月給ではとても行けなくなった。
今では完全予約制、西日本一うまい寿司などとマスコミにも取り上げられ、京都にも店を出したと聞いた。
それにしても私の食通も大したものだろうと自負するが、私の姉弟などはあまり褒めない。
友人たちも高すぎるという。
寿司もそれぞれ、味の好みは一律ではないことが分かった。
さて、話がそれたが、もう一つ変わったのは、やはり円高物価高の影響ここに至れりの光景だ。
その一番は牛肉の高騰だ。
コロナ以前までは、宮崎産、鹿児島産の黒毛和牛のロースのステーキやすき焼き用、しゃぶしゃぶ用、カルビなどが山積みになっていた。
ところが、今はどうだ。
ロースは少なくなり、もも肉やロース切り落としなどが大手を振っている。
そういえばお客の数もめっきり減った。
財布のひもがきつくなっているのだろう。
2024年春闘の結果は定期昇給を含む賃上げ率で前年比プラス5.10%、33年ぶりの高水準となっているそうだ。
でも、このところの円高もあって、物価の上昇は過激だ。
給料が上がっても物価が上がるのであれば、実質上がったことにはならないではないか。
30年以上も前になるが、イオンと合併する前のマルナカには毎日、生きたドジョウを売っていた。
なつかしい光景だ。
田舎町のスーパーで生きたドジョウを売っている。
私は買ったことがなかったけれど、この地にはどんな食通がいるのかとうれしくなった。
そして、まだ、少し当時の伝統を引き継いでいるのが、ウニを売っていることだ。
以前は毎日売っていたけれど最近は毎日はない。
流石に高すぎて手が出ないでしょうとは思う。
木箱に盛られたウニは一箱3000円はする。
私は時たま小さな一箱880円のウニを買うけれど、こうした食材が売られていることに、なかなか口には入らないけれど、この地の経済力の強さを感じてうれしくなるのだが、この商法もそろそろ店仕舞いしそうなあやしい雲行きを感じる。
ほとんど毎日スーパーウオッチャーをしている私は、人々の購買力がどんどん厳しくなっていると実感する今日この頃です。
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