日本学術会議会員の任命拒否をめぐって国会が揺れている。
任命拒否は人事に関することであり詳細に説明することはできないと政府はその理由を明らかにしない。
そして、総合的俯瞰的に考える必要があると禅問答のようなことを言い、挙句には、これまでの会員推薦は学術会議の仲間内の推薦になっていると学術会議を批判するが、いったいどういう基準で推薦すればいいのかは言わないのでは学術会議としても全くお手上げだ。
この経過を見れば誰にでもわかる。
要は、政権の覚えめでたい人を推薦してきてほしいと言っているのだ。
流石にそこまでは言えないので、90万人の科学者がいるなかで、自分たちの身内や都合の良いものを選んでいるとか、出身大学も旧帝大に偏っているとか、地方や私学から、そして女性や若手、民間人など多様な人材を求める必要があると難癖をつけている。
日本学術会議法では「優れた研究または業績がある科学者から」推薦するということだけが定められているのだ。
それこそ90万人の科学者の中からどうやって105名を選べというのか。
公正公平な選考基準はその分野で高い評価を受けている「優れた研究または業績」しかないではないか。
しかもその人たちを選ぶにあたっては、その分野の専門家でしか評価を下せないことは自明の理ではないか。
政治家があるいは首相が、いくら任命権は内閣総理大臣たる私にあると偉ぶってみても学者の評価などできるはずはない。
ただ社会科学の分野の主張は、政権の意に沿わない主張だという基準でなら判断はできる。
菅首相は今回の推薦拒否について「推薦拒否した6人の学者が安保法制や共謀罪法に反対していた」こととは関係ない。「学問の自由に対する侵害など」とは全く関係がないという。
そして、追及をかわすように「大学も旧帝大に偏っている」などと、わけのわからないことを言う。
そこで2020年国家公務員総合職試験の大学別合格者数ベストテンを調べてみた。
ランキング1位は東京大学で249名、
2位京都大学131名、
3位早稲田大学90名、
4位北海道大学69名、
5位東北大学65名、
6位中央大学、7位立命館大学、8位岡山大学、9位東京工業大学、9位名古屋大学であり、旧帝大系5校がランクインしている。
この伝統ある国家公務員キャリア試験こそが、良くも悪くも日本の学問や研究の偏差値を示しており、そう簡単に前例踏襲だ、旧帝大に偏っているなどと屁理屈をつけて変えることなどできないことぐらい、普通に学問をしてきたものなら納得していると思う。
各人の才能と努力の結果なのだ。
学歴コンプレックスの菅首相含む最近の首相たちだけがむきになっているようだと思うのは私だけなのだろうか。
日本の試験制度の中で大変難易度の高い国家公務員総合職試験に合格して採用された官僚の皆さんが、安倍政権や菅政権において誰が聞いても無理やりな国会答弁メモを作成させられて、誤魔化しや虚偽に満ちた弁解にこれ努め、挙句に文書改ざん、文書隠滅に走らされている感のある姿を垣間見ると、優秀な人材が、できの悪い、あまり勉強してこなかった政治家たちにあごで使われている現状は本当に気の毒に思う。
国家公務員総合職(以前は1種とも言っていた)の採用の状況を調べてみた。
今から10年前、2010年のベストスリーは1位東大428名、2位京大157名、3位早大71名だった。
この順位は調べた限りではこの10年間変わっていなかったが、東大の合格者数は428名から249名に半減近くまで下がっている。
2019年は1位東大307名、2位京大126名、3位早大97名だから特に東大生の減少が目に付く。
それはそうだ。
天下の東大生があのような仕事で、アホな政治家に追い詰められ、忖度しなければならないなんて、そんな世界に身を投じるものが少なくなるのは当たり前だ。
しかし、それは国家的損失なのだ。
そろそろ実利主義一辺倒やお山の大将だけの浅知恵政治家には退場してもらいたい。
すまじきものは宮仕えの国家にしてはならない。
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