離婚のクーリングオフ制度

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先日新聞を読んでいたら表題の記事が目に留まった。

離婚とクーリングオフという言葉がなぜ結びつくのか意味不明だった。

 

記事を読んでみると「けんかなどに伴う衝動的な別れを防ぐ目的」で、中国の国会に当たる全国人民代表大会で制定されたという。

来年から離婚届の提出後60日以内なら取り消しが可能となるという。

 

具体的には離婚届の提出後30日以内なら、夫婦の一方の意思で取り下げられ、60日以内に夫婦双方が役場を訪ねて離婚証明書の発行を申請しなければ離婚が取り消されるという。

これほどまでにきめ細かく決められているのは、売り言葉に買い言葉の離婚が大変多いのだなあと読みながら想像したら、記事の後段に、「制度導入に向けた議論では近年の傾向として、些細なケンカを機に衝動的に別れるひらめき離婚の高さが指摘された」とあった。

商品の購入にあたってのクーリングオフと同じような仕組みなのかと思った次第だ。

 

私は定年退職後、数年間家庭裁判所の家事調停委員をしたことがある。

日本の場合の離婚は基本は当事者双方の話し合いによる協議離婚で87.2%、そして話し合いがつかない場合は調停制度による調停離婚で10.0%ということだ。

 

調停で決まらない場合に離婚裁判を提訴できる仕組みとなっている。従って最初から裁判に訴えて離婚することはできない。離婚は調停を経なければ裁判に訴えることができない仕組みになっているのだ。

 

日本人の場合、今回のコロナ問題にも見られるように、辛抱強いという国民性がやはりあるような気がする。

日本と中国の夫婦喧嘩の頻度の違いは判らないが、日本では離婚届に直結するような解決法はあまりとらない。

 

実家に戻り親に説得され、夫が迎えに来るというのがかってのパターンだったが、最近はある程度の説得はして、ころあいを見計らって親の方が可愛い娘と孫さえいたらいいというところに落ち着いて離婚条件を整える調停申し立てが行われることが多くなっているように思っていた。

 

ただ今回、調停離婚の割合が10%に過ぎないということは意外だった。調停の良さをもっと知ってほしいと思った。離婚条件を公的機関において整えるという離婚調停は実に良い制度だと調停委員になって初めて知った。離婚調停の仕組みに驚いた。

 

離婚の意思の確認、子供の親権を決める、子供の養育費を決める、預貯金などの財産分与を決める、離婚までの婚姻費用の分担金を決める、子供との面会交流の取り決め、慰謝料、年金分割など個人ではなかなか思いつかないようなことまでもきちんと話し合いで決めていく手続きは本当に素晴らしいと思った。

 

最近は、およそのことは双方で協議済みだが、これ以外のことを決める必要はないか、そして決めたことを口約束でなく裁判所のお墨付きをもらっておくために調停を申し立てたというケースも何度か経験した。賢いやり方だと感心した。

こうしておけば約束違反については法的な措置も可能となるという意味では重要なことだと思う。

 

ただ、調停申し立てですべて離婚に至るというのではなく、離婚意思が揺れている場合もあり、こうした場合は円満調停といって結婚を続けるための約束や決まりを話し合うことで、もう一度やり直してみましょうという調停も何度か経験した。

 

中国の離婚・クーリングオフ制度から日本の調停制度へ話が飛んでしまいました。

 

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