離婚して一人暮らしをしている知人から、「いちばん大変なのはゴミ出し。洗濯も炊事も掃除も、どうということはないが、ゴミ出しだけはどうにもならない。煩雑で面倒で。」と聞いた時、私は「へーそういうものかな」と意に介さなかった。
かみさんにこの話をすると、「気持ちがよく分かる」との反応だった。
彼女も、家事の中である意味いちばん大変なのが、ゴミ出しだという。
その当時私は、在職中で家事にはほとんど関与していなかった。
ところがほぼ、毎日が日曜日となり、少しずつ家事にも関わるようになってゴミ出しの大変さが実感としてわかるようになった。
ゴミの減量化が叫ばれだして久しいが、依然家庭からは大量にゴミが出る。
それを運び出すのが、まず体力的に大変だ。
ゴミを運搬するためのカートを何度買い直したことか。
更に、ゴミの収集日を忘れないようにするのが大変だ。
ゴミの種類によっては月に一回などというものもあるから、うっかり忘れようものならひどい目にあってしまう。
しかし一番大変なのはゴミの分別だ。
自治体の事情によって、分別方法は千差万別。
分類するためのマニュアルは、ちょっとした雑誌並みだ。
これを見ながら間違えないように分別し、忘れないように収集場所へ運ばなければならない。
収集場所もごみの種類によって違ったりする。
特にリサイクルゴミの分別が厄介だ。
「捨てればゴミ、分ければ資源」ということは頭でわかってはいても実行となるとややこしくて嫌になってしまう。
マニュアルと首っ引きで分別したつもりが間違っていることもある。
油の瓶は埋め立てゴミ、油の缶は金属・びんなどと言うに至っては、禅問答の如しである。
マニュアルによれば、ゴミの分類は23種類にものぼる。
そしてこのマニュアルには、巻末に索引までついている。この索引に載せられている品目はざっと数えたところ、1000種類にものぼる。
リサイクルゴミの集積場所には、数人一組で住民が当番に立つのだが、1年に一回まわってくる当番を務めたくらいでは、この複雑な仕組みが頭に入るわけがない。
先日もこんなことがあった。
小型混合ゴミとして持って来られたライターについて、当番が「これは今日ではありません、持って帰ってください」と言っていた。
持ってきた人も「ああそうですか」とすんなり持ち帰ろうとしたが、マニュアルを見ていた別の人が、「いや、マニュアルにあるある、今日でいいんですよ」と言い出し、帰りかけた人を追いかけてライターを引き受けていた。
私はかみさんと一緒にゴミを出しに行っていてその場に遭遇したが、それを見ていたかみさんが、帰途、「いや、ライターは燃えるゴミだと思う」という。
しかし、確信がなかったし、当番でもないので口出ししなかったらしい。
そして、帰宅してからマニュアルで確かめてみたら、
*使い捨てを含むライターは、燃えるごみとして可燃ごみの日に、
混合素材のライターは、小型混合ゴミとしてペットボトル埋め立てゴミの日に、
金属製のライターは、その他金属として、金属・びんの日に出すことになっているらしい。
そしてこの分類は今年度からの新しいマニュアルによるもので、以前は少し違っていたらしい。
このように複雑なゴミ収集の行程を、私は一人でこなす自信はまったくない。
「俺より先に死んではいけない」と祈るばかりだが、それを口に出して、「私はゴミ要員なんですね」とまた怒られてしまった。
誠に厄介なゴミ問題である。
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