(写真はホームページより)
『ポツンと一軒家』というのは、この番組のホームページによれば、
「日本各地の人里離れた場所に、なぜだかポツンと存在する一軒家。(中略)衛星写真だけを手がかりに、その地へと赴き、、、、(後略)」という番組だ
この番組のことは知っていたが、あまり関心が湧かなかった。
なんとなく、興味本位の趣味が悪い番組のように思い込んでいた。
ある時、たまたまついていたテレビを見てつい引き込まれた。
丁寧な番組作りにも好感が持てたし、興味だけに終わらない、人生を感じさせる内容がいいなと思った。
それから録画予約して見るようになったが、たちまちハマってしまい、日曜の夜が楽しみになった。
すぐにネタが尽きるのではないかと思ったが、そんなことはない。
山中の一軒家に暮らす人にも、様々あって、大雑把に分けると次のようになるだろうか。
①自分のしたいことを実現させるために、あえて山深い一軒家を求めて住んでいる人。
特に地縁や血縁はないことがほとんどだ。比較的若い人が多い。
子供を自然の中で育てたいとか、人間関係に煩わされたくないとか、それこそ動機は様々だ。
②以前は一軒家ではなかったが、周りの住人がいなくなって一軒家状態になった。
タバコづくり、お茶や薬草の栽培など、生業と強く結びついていることが多い。
③高度成長期に進学や就職で一度は故郷を離れたが、定年退職したり親の介護の必要が生じたりで、故郷に戻って来た。
① と②はなんとなく想像が付くが、私は③のケースに驚いた。
私自身も、高度成長期進学のため故郷を後にしたが、それ以後、、故郷にUターンして、永住しようと考えたことはなかった。
それはかみさんも同じだ。
思うに我々の両親は一度は後にした故郷に、戦争が原因で心ならずも戻った。
いつかはまた、都会に戻りたいというような気持ちもあったのかもしれない。
そのために我々子どもたちに故郷への思いを強く伝えることがなかった。
そのあたりが故郷を愛する多くの人々との違いかもしれない。
もう一つ気づいたのは、故郷の一軒家にUターンした人の多くが、妻子を麓の町や、あるいはもっと遠い都市部に残して、いわば単身赴任の形で故郷に戻っていることだ。
妻に頼ったり、家族の人生を巻き込んだりしない姿勢も立派だ。
企業戦士として活躍したころの単身赴任の経験が生きているのか、家族と離れての一軒家暮らしにさほど寂しさや、悲壮感が感じられない。
一軒家に帰って来た動機は、親の介護の他に、親が苦労して切り開いてきた田んぼが荒れ放題になるのを見るのは忍びないという人が多かった。
また、先祖の墓地や、由緒ある神社の祭りを守っていきたいという人もいた。
「できる人」というのは何でも自分で出来るもので、重機を操って落石の道を直したり、淡水魚を養殖して知人に振る舞ったり、住処を心地よく安全に整えたり、そして近在の古い友人を招いて交友を深めたりしている。
子育て中ならこうは行かない。
教育費がかかるし、子供の学校のこともある。
山深い田舎での農業や林業だけでは、とても家計をまかないきれなかっただろう。
退職後は、生きていくのにさほどお金はかからないし、何より年金で生活は保障されている。
いろんなしがらみから解き放たれたとき、故郷の一軒家での暮らしを選んだ人の心情に思いを馳せると、人生というものを考えさせられ、この番組の人気の秘密がわかった気がした。
今夜も楽しみだ。
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