アサリの産地偽装は業者だけの問題ではないだろう

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堂々と(?)中国産と表示されるようになったアサリ


アサリが好きだ。

朝の味噌汁。夜の酒蒸し。週に1度とまでは言わないけれど、月に何度かは食べていた。

しかし、熊本産のアサリ偽装が発覚して以来スーパーの店頭では中国産・畜養熊本県という表示で、済まなさそうに少数売っていたが、このところ畜養熊本という表示もなくなり中国産と表示するようになっている。

 

この問題、熊本県知事が鬼の首を取ったように発表したが、行政の責任者としてこの問題を長期間放置、黙認してきたことについてはどう考えているのだろうか。

 

農水省の調査では2020年の国内産アサリの漁獲量は4400トン、うち熊本県産漁獲量はわずか21トンだったという。

そして、流通実態調査をもとに推計した原産地別の販売割合は2021年10月~12月の3か月間で計3138トン、その内訳は熊本県産2485トン、北海道産265トン、愛知県産186トン、有明海産156トン、韓国産27トン、その他国産21トンだったという。

 

年間21トンの熊本県産漁獲量が、3か月間販売量の推計では熊本県産2485トンになるというからくりは食品表示法にある。

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カレンジュラだろうか



食品表示法では「輸入品は原産国名を表示する」と定めているが、アサリなどの水産物には例外があり「2か所以上で育てた場合は、育った期間が長い場所を原産地として表示する」ことが認められており、これを「長いところルール」と呼ばれているという。

 

ということで、業者は中国などから輸入した1~3歳の成貝を熊本県内の漁協から借りた畜養場で育てる「畜養」を行って、熊本県産と表示して販売していたということだ。

従って、この畜養が「長いところルール」に適合していれば、食品表示法に抵触することはなかったのだが、アサリの畜養は長期にわたって育てる必要はなく、いわゆる熊本県を通過して出荷時期の調整弁としながら畜養による熊本産表示をしていたことを知った。

 

無論、この問題が発覚するまでは、畜養と言う言葉さえも知らなかった。

熊本県産という表示を見て買って、「やっぱり、熊本産は本場じゃけえ、うめーなー」と満足していたのだから噴飯ものだ。

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おぼろに霞む春の日の出



熊本県産から中国産に書き換えられたアサリを買う人はとんと見かけなくなった。

しかし、こうした状況をたどってみると、やはり、熊本県知事をはじめ、行政・漁協関係者の責任は重い。

知らなかったでは済まない。

長年にわたる悪習に頭を痛めていたのであろうが、くまモンを傷つけ、県民の郷土愛を貶め、国民を裏切った責任は重大であると思う。

 

それにしても、アサリの漁獲量は昭和30年代後半は年11万トン~16万トンで推移していたが、近年では3.5万トン前後で低迷しているという。

子供にはアサリのえぐさがなかなかなじめなかったが、中国産にならされてしまっていたのか、昔食べた日本産本来の強烈なアサリ臭と豊かな濃い味を忘れていたような気がする。

 

日本のあさりは何処に行ってしまったのか、もう一度食べたい日本の天然アサリだ。

 

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