8月24日福島第一原発の処理水の海への放出が始まった。
少なくとも約30年は放出が続くという。
東電の計画では、今年度はタンク約30基分にあたる計3万1200トンを4回に分けて放出する。
トリチウムの総量は約5兆ベクレム、年間の放出上限22兆ベクレムの1/4の以下。
1期目は7800トン分で約17日間かけて流す。
と朝日新聞の一面トップ記事にあった。
多分、年間放出上限の1/4の以下なので安全だということなのだろうと理解したが、これではどう安全なのかはわからない。
核汚染水に含まれる様々な核物質を除去する装置として、フランス製のアルプスという多核種除去設備があることは、福島原発事故が起こった時に大きなニュースとなったので覚えていた。
そのアルプスを使っても除去できないのがトリチウムであることを知った。
我が国はアルプスを使って放射性物質を取り除いてきたが、トリチウムは除去することができず、トリチウムの残った処理水をどう処理するか長年にわたっての懸案になったまま、この処理水が溜まって、もはや保管する場所が困難になり、海中放流を決断したのだった。
先日、スマホのニュースで、近畿大学の研究チームが5年前に汚染水に含まれるトリチウムを100%取り除くことに成功しているが、実用化を阻んできたのは政府と東京電力であるというニュースを読んだ。
こうした装置が実用化に至るところまで来ていることを初めて知った。
でも、なぜ政府や東電がトリチウム100%の除去を推進しないのか、5年前に実験室で成功しているのなら、十分に時間はあったと思えるのだが、不思議なことだ。
そして、このブログを書くにあたって、インターネット上で種々検索していたら、2018年8月19日付の共同通信の
「基準値超の放射性物質検出。トリチウム以外」という記事が紹介されていた。
東京電力によると2017年度に汚染水浄化後の測定で、ヨウ素29が1リットルあたり62ベクレル検出され、排水基準値の9ベクレルを上回っていた。
同年8月末に公聴会が開かれたが、トリチウム以外の存在は議論もされていないとあった。
また、この公聴会の中では近畿大学のトリチウム除去技術について、まったく具体的な説明はなかったともあった。
臭い物に蓋をするとは古来から言われ続けているではないか。
野村哲郎農林水産相は31日にあった関係閣僚会議に出席した後、処理水を「汚染水」と表現して記者団に説明した。
岸田首相は直後に野村氏の発言について謝罪し、撤回するよう指示。
野村氏は「言い間違った」と陳謝し撤回した。と報道された。
私も汚染水と処理水のことはこの記事が出るまで分かっていなかった、大臣も気にかからずに発言したのだろうから知らなかったとも言える。
まあ大臣としてはお粗末と言われても仕方がないだろう。
8月31日BS・TBS報道1930を見た。
笹川平和財団小林祐喜研究員によるとALPSによる一次処理水の7割がトリチウムやストロンチウム、セシウム、ヨウ素131などの核物質の基準値を上回っており、これらが二次処理により、どの程度除去できているのか、第三者機関が検証した上で、国際社会にも発信しその結果、海洋放出すれば問題にはならなかったと発言していた。
元内閣府原子力委員会委員長代理 鈴木達治郎氏は半年か1年の期間を設けてALPSの二次処理がちゃんと機能し、処理水が明らかに基準値以下になるというデータを公開して初めて放出するというのが筋だと述べていた。
専門家がこうした発言をする限り、最終処分水に一体どの程度の核物質が残留しているのかは全く不透明だということではないのか。
国際原子力委員会(IAEA)の「国際的な安全基準に合致」するとの報告書を錦の御旗に振りかざして、正当性や安全性を主張するのはいかがなものかと私などは思ってしまう。ぜひ、国民の疑問にしっかりと答えてほしい。
国は「知らしむべからず、由らしむべし」ではいかんでしょう!
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