小池都知事が昨日(6月30日)新型コロナウイルスの感染状況や医療態勢を伝える新しい7項目の指標を発表した。
このところ感染者数、接触歴等不明率など増加傾向を示している中、新たな指標の発表だった。
どういう意図で新たな指標を持ち出したのかわかりにくい。
恐らく、もはや再度の自粛要請や休業要請を出せる状況にはない中、ハードルをゆるめる指標を求めたのだろう。
小池知事の行動はわかりやすい。
3月24日東京オリンピックの延期が決まるや否や、東京都のコロナ感染者数は増加が始まったのだ。
モニタリング指標も東京アラートも朝令暮改。
それでも、当初の都民へのコロナ対策は鮮やかに写った。
国の補正予算が成立したのが4月30日だからオリンピックの行方がはっきりするまでは手ぐすね引いて待っていたのかも知れない。
特に中小企業者への支援制度は4月初旬に始まっている。
第1回東京都感染拡大防止協力金:休業対象期間4月11日から5月6日、50万円(2事業所以上100万円)の給付。
引き続き第2回東京都感染拡大防止協力金:休業対象期間5月7日~25日を実施。
そして都全体では120事業を超える様々な支援をしており約9000億円あった財政調整基金(自治体の預金)が残り400億円ほどに減少した。
都知事選を目前にしたこの分かりやすい大盤振る舞いだが、先行きの見えないコロナのリスクと財政のひっ迫の中で、一転して引き締めにかかったのだろう。
それも大慌てのように見える指標の手直しである。
こんな見え透いた手直しなどするよりも、都がこれまでにやって来た対策の一部始終を丁寧に説明することではないのか。
京大名誉教授の佐伯啓思さんは朝日新聞「異論のススメ 死生観の郷愁」の中でコロナウイルスについて
「統計数字的にいえば、それほど恐れるほどのものではない。
国や地域によって違いはあるが、こと日本に関する限り、たとえば東京の感染者数は、多めに見積もって約6000人としよう。
一方人口は約1400万人。
感染確率は0.05%にもならない。
死者数は300人強であるから致死率は大変低い。
日本全体でみても、感染確率は高く見積もっても0.02%以下である。
一方、インフルエンザによる直接、間接の死者数は年間約1万人とも推定され、2018年~19年の感染者数は何と約1200万人を超えている」
と記されている。
では何を恐れているのか。
今や国も都も経済の失速と財政破綻なのだろう。
それは当然だ。
これほどまでの財政出動をして経済の失速を押しとどめようとしている中で、再び感染者数が増加の気配を示して来たのだから。
しかし、ここは変な手直しをするのではなくきちんとした説明をすることが肝要ではなかろうか。
佐伯さんの指摘されているように、コロナウイルス自体は日本のやってきた対策を心がければ、感染者数最大の東京都で感染率0.05%、致死率0.002%でしかないという事実をしっかりと伝え説明すべきではないか。
従って、これまで通りできるだけ三密を避け、マスクとうがいと手洗いを励行する。
発熱や体の不調があれば直ちに検査を受ける。
手軽に検査ができる体制を整え早期発見、早期隔離を心掛けるという基本姿勢で「大丈夫です」と言って欲しい。
様々な数値や経過を正確に発表しながら、爆発的な感染はさせないと国も都もしっかりと示して欲しい。
あまり小手先の指標をいじる必要はないし、そういうことをすることがこの国の最近の疑惑の要因と重なり、変な勘繰りを生んでしまうのだと思う。
そして、こうした状況はワクチンが開発され、良い薬ができるまでのコロナとの我慢比べなのですと国民の協力をいままでと同様にお願いすることできっと切り抜けられると思わずにはいられない。
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