学術会議の委員選考にあたって菅総理は、人選は総合的俯瞰的に判断したと述べたが、それは具体的な説明ができない裏返しの言葉であることが明らかになってきている。
そして、説明に窮すると人事にかかわることはお答えできないと答弁拒否をして言い逃れをしようとする。
全くもってみっともない姿だ。
決断したのであれば、丁寧に説明すべきだ。
拒否した事実はあきらかであり、その決断した理由を国を率いるトップがその責任と権限で説明できないとは何という情けない姿をさらすのかと思ってしまう。
民主国家日本を引っ張るリーダにはもっと堂々としてもらいたいのだ。
基本的には人事に関することを軽々にしゃべることがあってはならないことは誰だって知っている。
しかし、国家の政策方針を変更する人事を決定しておいて、その決定をした根本の考え方を説明しないで隠してしまおうとする姿勢には不信感しか起こらない。
自らの決断で裁判に負けたとしても国家国民に対する責任上致し方ないことであるならば、その判断を下した最高責任者がその責任を背負わなければならないのだと思う。
そういう立場にいて、そういう自覚をもってその地位にいるのだろうと思っている。
新型コロナウイルスの感染拡大が続いている。
結果論を言うのはたやすいかもしれないが、感染第一波が収まりつつあった5月~6月、世の中は確かにひっそりと静まり返っていた。
感染者はほぼ二ケタ台で落ち着いているように見え、もうしばらくすればひょっとしたら抑え込めるかもしれないとも思ったことがあった。
6月末から3桁に乗せると7月に入り、200人台、7月後半には1500人台を突破したのだ。
7月と言えば、GOTOトラベルキャンペーンは7月22日に始まった。
この開始時期のタイミングの悪さは何だ。
多くの心ある人たちは政府の前のめりの政策判断を訝った。
開始時期の判断に問題があったのはその後の経過を見ると一目瞭然。
人間の人知などというものが如何に他愛のないものかということがわかるというものだ。
コロナの方は、人間が静かになればコロナも静かになり、動き出せば、それに合わせて動き始めるのだ。
まさに自然体なのだ。
このウイルスを退治するか、もしくは付き合っていくためには、しっかりとウイルスの動きを観察して、相手を上回り、出し抜くような知恵を働かせる必要があるのだ。
こうした中で、今まさに世界の科学者は、コロナに打ち勝つワクチンと薬の開発に血眼になって取り組んでいるのだ。
8月末から11月初めまでは、1000人台に増えた感染者数が三桁の数字に低下し、ウイズコロナ社会の可能性も模索されるような付かず離れずの状況で推移していた。
コロナはすっかり日本国民をあざむいていたのだった。恐るべし新型コロナウイルスだ。
国民は政府の掛け声もろともに、この際とばかりGOTOトラベル、GOTOイートなどに参加した。
そうなると気分も大きくなる。
こうした中で、11月を過ぎると、ウイルスはあれよあれよという間に感染を拡大した。12月17日最終の数字はとうとう全国の感染者数3211人に達した。
そして菅首相はGOTOトラベルの一時停止の発表に追い込まれたのだ。
人の移動による感染者増加のエビデンスはないと、菅首相はつい先日まで発言を繰り返していたが、総合的・俯瞰的にみれば密接に関係していることは感染者推移のグラフを見ればわかる。
どこの誰に聞いたのか、菅首相は専門家も言っているというが、分科会の尾身会長を始め、テレビに登場する感染症の専門家や医師のほとんどの人たちが人の移動が感染を広げると主張しているのだ。
そして、世論調査で菅内閣の支持率が急落するやとうとう重い腰を上げて、GOTOトラベルキャンペーンの全国の停止期間を決定したのだ。
遅きに失する事態であることは明白である。
すべては後手後手に回っているのだ。
そして、昨日は、5人以上の会食を控えるようにと首相が国民に呼びかけた。呼びかけのその当日の夜、当の首相本人が国民に呼びかけた規律を破っているのだから開いた口がふさがらないとはこのことだ。
聞くところによると、首相は三度のご飯を家庭で摂ることはないという。
いくら忙しい職務とは言え、家庭で食卓を囲むという生活様式は基本の基だ。
首相が家庭を大切にしていないという情報もないけれど、首相といえどもそんなに仕事中毒では身体にも家庭にも良くないことは常識だ。
首相は政治家ではあるけれど、日本国家そして日本人の代表として、仕事の場でも家庭の場でもお手本であってほしいと思う。
今の菅首相を見ていると、重箱の隅をつついたり(日本学術会議)、ニンジンをぶら下げたり(携帯料金の見直し)、後手後手の判断(GOTOキャンペーン)、言行不一致(5人以上の会食制限)などなど、あまりにも総合的、俯瞰的な見地がなさすぎると思われて仕方がない。
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