吞み歩き食べ歩き・コロナ以前の追憶の旅(大井川鉄道あたり)

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2016年7月25日(日)午前6時過ぎ、カミさんの運転で岡山駅まで送ってもらう。

今日から3日間いとこ会男子部の東海旅行。岡山駅からは弟と同道。

 

東京組との待ち合わせ場所、東海道本線金谷駅には、約束の時間の一時間前に到着。

周辺を少しウオーキングしていると、旧東海道金谷石畳というのがあった。

坂道を登ってみた。

旧東海道に石畳で整備された道が残っていたとは知らなかった。

調べてみるとぬかるむ道を幕府が住民たちに葺石を並べるように命じて整備したとあった。埋もれていた道を、平成3年、町民一人一石運動を展開して復元されたとあった。

旅行をしていると知らないことが多くあることに気づく。

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石畳の道


 

午前11時頃、東京の従兄弟3人組到着。

金谷から新金谷に行き、大井川鉄道蒸気機関車はここから出る。

席は指定席でほぼ満席。

 



昭和48年まで故郷に帰る国鉄伯備線には蒸気機関車が走っていたことなど話す。

東京でも信州方面には子供の頃蒸気機関車に乗ったとの話。

 

千頭駅で下車し、トロッコ列車アプト式というようだ)に乗り換えて、接岨峡温泉まで行く。

接岨峡温泉駅の真ん前に旅人が汗を流すような古びた湯治場(温泉)があった。MとHと私の3人で入る。

若者が一人入ってきた。

話し好きで声をかけると話が弾んだ。

自分は35歳で父は昭和22年生まれという。

 

我々が彼の父親と同世代でいとこ会でここまで来たというと喜んでくれた。

彼は妻と娘の3人で日帰りでここに来たといった。

これから妻と娘はトロッコ列車に乗り、彼は車で追いかけるのだそうだ。

途中の駅で、彼を見かけて声をかけると笑顔で手を振ってくれたが、妻と娘は経緯がわからないのできょとんとしていた。

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森のコテージ



本日の宿泊は川根本町奥大井森のコテージ。

ガッチリとしたログハウスで、一階にダイニングキッチンとツインの寝室、2階にツイン2室で私はHと一階に寝た。

 

食事は東京組が買ってきた缶詰が中心だった。

弟が持ってきた手作り味噌と現地で調達した茗荷が新鮮で美味しかった。

女性いとこ陣の参加問題で議論が盛り上がったが、男子部という本来の決まりを大切にすべしという意見が大勢を占めて、恒例のカラオケに移り、12時過ぎまでやってダウンした。

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キャンプ場



月曜日 午前6時過ぎ、ウオーキングに出発。

森のコテージは大井川の上流にコテージとキャンプ場を併設している。

大井川の河川敷を散策する。

コテージには結構宿泊者がいたが、キャンプ場は一家族がテントを立てていたのみだった。

 

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森のコテージキッチン部分

ウオーキングから戻ってシャワーを浴びて朝食。

お赤飯や白ご飯、インスタント味噌汁、海苔とお新香で簡単な朝食。

 

朝食後は昨夜からの飲み食いのゴミを片付け、ゴミ置き場まで持っていく。

コテージを掃除するおばさんたちが数人集まってきていた。

この山奥での僅かな就労場所になっているようだった。

 

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千頭駅


千頭駅までマイクロバスで送ってもらった。

千頭駅からは再び蒸気機関車の旅。

金谷駅まで行く。それから東海道線掛川で下車し、掛川城まで歩く。

皆、昨夜の深酒がたたって元気がない。

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掛川城



掛川城には登らずお城の前庭で写真撮影。

お昼ごはんはお蕎麦と決めていたが、もう歩く元気もなく、お城近くの食堂に入る。

料理の美味しい店と宣伝していた。

 

IとMはカツ丼、他の3人は親子丼をとった。

私は全然食欲がなく、半分も食べずに残した。

甘い親子丼のタレも食欲をそいだ。

 

掛川からは天竜浜名湖鉄道に乗り、浜松へ向かった。

浜松へは、途中に西鹿島駅遠州鉄道に乗り換え新浜松駅で下車する。

再び東海道線に乗り換えて本日の宿泊先のある弁天島まで行く。

 

弁天島駅には宿泊先の「海賀荘」からマイクロバスが迎えに来てくれていた。

宿について荷物をおいてから、浜名湖遊覧に宿から送ってもらう。

船は小さな釣り船のような心細い船だったが、浜名湖は波穏やかで心地よい風に吹かれてほぼ一周した。

太平洋と浜名湖を結ぶ地点まで進んだが、太平洋の波の高さが見て取れた。

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シンボルタワーの赤い鳥居



その近くまで行って小舟は反転した。

途中、浜名湖の真ん中に宮島の鳥居を少し小さくした赤い鳥居があった。

正式には「舞阪町観光シンボルタワー」というのだそうだ。

ちょうど干潮時で砂地に上陸して参拝した。

 

宿泊先の「海賀荘」は料理旅館と銘打って、観光船のキャプテンはあそこなら料理がうまいと教えてくれた。

小さな旅館で部屋は5室しかない。

70代の店主夫婦と息子、祖父、従業員が二人ということだった。

今日は我々以外に夫婦と思しき二人連れの二組だけだった。

 

私はお昼の食欲不振からはやや回復したが、それでも今日は飲む量、食べる量が半減していた。

2食付きで12,000円の食事に特別料理、刺し身の盛り合わせ、伊勢海老のお刺身を追加してお酒込みで17,000円少々だった。

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どうまん蟹


重箱に詰められた前菜に始まり、岩牡蠣浜名湖特産どうまんカニ、キンメダイのお煮付け、スルメイカの肝焼き。

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岩ガキ

道満カニの酢の物、お刺身(シマアジ、タイの昆布締め、赤貝、まぐろ中トロ、生しらす)、別注の刺し身はアジ、タイ、ウニ、サザエなどで竜宮城で接待を受けているようだった。

もっとも費用はすべて自前だけど。

流石に本日はくたびれて、カラオケ無しで皆、早々に床に入ったが、私は疲れているにもかかわらずなかなか寝付けなかった。

 

火曜日 朝のウオーキング浜名湖体験学習施設ウオットまで5,000歩ほど歩いた。

ここの施設にもキャンプ場が併設されていた。

静岡県のキャンプ場の数は全国で7位だそうだ。

朝食でも一杯やる。

体調もだいぶ回復してきた。

 

料理長でもある宿の息子さんに新浜松駅まで送ってもらい東海道線で、浜松に出る。

アクトシティ浜松の展望台でお茶にしようと46階まで上ったが、喫茶やレストランの類はないというので降下して2階の喫茶店に入って昼過ぎまでおしゃべり。

 

ウエイトレスに浜松の美味しいお店をと紹介してもらったのが、駅ビルにある中華ファミリーレストラン「五味八珍」安くておいしいとお勧め。

確かに安くて、ビールやお酒を飲んで一人2千円。

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浜松餃子


ただ、餃子の大2皿、五目ラーメンと普通のラーメン2つとっただけだった。皆食べ過ぎ、飲みすぎで食欲減退していたのだろう。これが毎年の我らいとこ会男子部の解散風景でもある。

 

午後2時前に、来年の再会を約しながら、店を出て東京組と別れた。

 

コロナ以前が懐かしい。ステイホームの日々はいつまで続くのだろう。

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呑み歩き食べ歩き・コロナ以前の追憶の旅(上高地あたり)

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頂き物のイチゴ。恋みのりという品種でとてもおいしい





今年(2014年)の従兄弟会は上高地

 

我々兄弟は岡山から新幹線で名古屋、名古屋から中央線で松本に行く。

東京の3人は長野新幹線で来る。

上高地は初めてだったので期待が膨らんだ。 

集合したのは松本駅、午前11時過ぎ。

 

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開智小学校

早速、明治に建てられた洋風建築の重要文化財の開智学校(2019年国宝に指定)を見学し、その後、昼食。

昼食は勿論お蕎麦。

 

長老格の江戸っ子M(茨城で産湯を使い東京で育った)は上高地には30回以上来ているということで、この松本も詳しい。

特に蕎麦通であり、本日はお勧めの投汁(とうじ)蕎麦。

店の名前は「まつした」ではなかったかとうろ覚え。

 

投汁蕎麦は、味噌仕立ての鴨鍋又はとり鍋にお蕎麦をしゃぶしゃぶと浸けて食べる。

日本酒によくあって、一丁できあがり。

5人で2升近くは飲んでいるだろう。

午後3時前、宿の迎えのマイクロバスに乗って一路、中の湯温泉旅館まで約1時間くらいドライブ。

私は酔って寝ていた。

 

中の湯温泉は上高地の入り口の山の中腹にあるが、旅館はこの一軒のみだった。

ロビー前方に焼岳が屹立しているのだが、あいにく雲をかぶっていた。

旅館への上り口のところに「卜伝の湯」という外湯の秘湯があり、もちろん好奇心の強いわが従兄弟会の面々は旅館に着くやいなや、浴衣に着替え再びマイクロに乗り、「卜伝の湯」に入湯した。

 

「卜伝の湯」は暗い洞窟に湧き出ている温泉だった。

5人くらいで入るのがちょうどよく、貸切の秘湯を味わった。

 

ここの旅館はカラオケ施設がないということだった。

そこで私が持参したカラオケ一番が大活躍。

みんな大満足で12時前までカラオケ三昧だった。

Mが100点を出して大喜び、私が持参した賞品を授与した。

なかなか勝負強いやつだ。

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河童橋付近?雨でよくわからない。


 

 

翌日は雨の中を大正池から河童橋まで4~5キロを歩いた。

みんな健脚なのに驚いた。

毎日一万歩を歩いている私だけれど、雨でぬかるむ道を歩いてくたびれた。

 

河童橋五千尺ホテルで休憩。

皆でケーキセットを注文。

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写真は4人が注文したガトーポム。

これまでスイーツタイムなど考えられなかったけれど、やはり少々くたびれて甘いものを欲したのかもしれない。

しかし、我々が単なる酒飲み集団ではないことも証明できた。

これからはこういう企画も必要だと思った。

 

 

上高地バスセンターに宿のバスが迎えに来てくれて、松本駅まで送ってくれた。

路線バスに乗ると片道2450円ということだから、そういう意味でも中の湯温泉旅館を選択した価値は大きい。

幹事の功績大である。

といってもすべて旅なれたMの指示のようだ。

 

松本駅・樽木野駅舎店でざるそば、おでん、豚角煮で打ち上げ。

ざる蕎麦は大盛りのごとく量が多い。

人懐っこく、誰にでも声をかけるYが隣の客にそれは大盛りですか、普通ですかと尋ねた。普通と言うことを確認して我々も大盛りは無理だなあと普通を注文した。

そしてビール大瓶がでてきた。

ビールを注文すると大びんが当たり前に出てくる信州人のおおらかさに、酒飲み一同感動する。

 

 

本当に信州は食べ物がうまい。

特に蕎麦は本場、本物だ。

本当に土地も人柄もいいところだと改めて信州が好きになった。

 

東京に戻る従兄弟3人と岡山に帰る我々兄弟、来年の再会を約して帰路に就いた。

 

もちろん、昨年の従兄弟会は中止。コロナ以前が懐かしい、ステイホームの日々です。

 

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官僚たちの宴から見える菅政権の強権化 

 

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菜の花が咲いた

このところ農水省総務省の官僚幹部をめぐる接待事件が立て続けに明るみに出た。

 

一つは河井元法務大臣夫妻の公職選挙法違反事件に関連して発覚した、吉川元農水大臣の収賄容疑と吉川元農水大臣とともに農水省の課長以上の7人が鶏卵大手「アキタフーズ」から一人当たり2万円以上の接待を受けていた事件である。

ただ、河井事件が明るみに出ていなかったなら決して表面化しなかったのだろう。

水面下ではどんなことが進行しているか分かったものではない。

 

また総務省では菅首相の長男が勤める放送関連会社「東北新社」から10数回の会議出席や接待を受けていたことが、文春砲の記事で発覚した。

文春砲のニュース元は何だったのか。

タレコミがなければ、どんなに見張っていてもなかなか足取りを追えるものではないのではないか、またあの音声の出どころはどうだろう、どうやって録音したのだろうとゲスの勘ぐりも興味が尽きない。

 

私は地方行政に30数年携わった。

最初の職場は福祉行政の毎日、カバンを肩から下げて現場を歩いた。

 

残業は年間20時間弱で、特別な業務のための残業代で、日常業務の遅れはサービス残業だった。

そんな職場に10年以上異動の声もかからず、半ば専門職になったような気分でいたけれど、40過ぎてから建設部門に異動になった。

その部局では誰もが何の制約もなくほとんど自由に残業をしていた。

 

ただ、残業手当が出る職場に移ったけれど、管理職手当をあてがわれる身となり、どんなに遅くなろうとも残業手当は頂けなくなった。

そういうめぐりあわせになっている人生とあきらめたが、一方で、また、私の知らない世界を知ることになった。

 

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遊歩道の花壇に咲いていた 昨年も見かけたが名前を忘れた

それは当時盛んに行われていた官官接待だった。

福祉現場から道路や河川の改修・新設を要望する課に異動したのだった。

役所の中にこんな仕事をする課があるのか、初めて役得というもの知った。

 

国・県・市それぞれのレベルで行われる陳情活動と懇親会が概算要求時、予算要求時、個所付け要求時、お礼など時期ごとに何度も繰り広げられた。

ホテルのレストランや高級料亭などで、もちろん民間の接待には及ぶべくもないが、薄給の身にはうれしい時間となり、首長や助役、幹部職員とも身近に接するようになった。

 

罪悪感など当時は全くなかった。

むしろ、陳情時期には全国の自治体は旗やのぼりを立てて、お祭り騒ぎで名産品を官公庁に持ちこんでいた。

 

こうした中、平成10年1月大蔵省官僚によるノーパンしゃぶしゃぶ接待事件」が発覚し7名の官僚らが逮捕起訴され、当時の大蔵大臣と日銀総裁引責辞任する事態に至った。

 

この事件以降、官々接待は急速に下火になった。

陳情活動は主に職場での資料配りが中心となり、会場を設定しての説明会も、説明が終ると役人たちはそそくさと退席した。

地方においても、官々や官民の懇親会はすべて自費の会費制になった。

 

今でもこの方法が常識となっているとばかり思っていたが、国においては、すでに忘却の彼方になっていたのかと今回、あらためて国と地方の違いを知った。あれから20年経つ、10年ひと昔という言葉もあるが、国の方ではとっくに忘れていたのかと振り返った。

 

 

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リュウキンカも咲いた

それにしても、総務省幹部の「利害関係者にあたる放送事業者とは思わなかった」とか、体調不良を理由に突然辞任した山田前内閣広報官の「お会いする方がどういった方のご子息であるかとかは、お付き合いに関係がない」とか「(長男の同席について)私にとって大きな事実だったかというと、必ずしもそうではない」という発言は納得できない。

菅総理の長男を「正剛様、正剛様」と様付で呼んでいたことからも大事な人という認識がうかがえた。

 

高級官僚が見知らぬ人たちの中にのこのこと出ていくことなどあろうはずがないではないか。

そんなことは官邸以外の日本国民の誰でも知っている常識だ。

 

高級官僚たちはこの国は首相官邸に守られているのだと胡坐をかいている。

安倍政権に引き続く、こうした政権の強権化は何としても食い止めなければならない。

 

これでは太平洋戦争へ突き進んだ戦前の日本と同じ運命をたどるだろう。

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生活保護とはなんだ

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早春の陽光を浴びて寒あやめが咲いた


1月27日菅首相参院予算委員会

「この国には最終的には生活保護という仕組みがある。しっかりセーフティネットを作っていくことが大事だ」

と答弁し、俄然、生活保護への注目度が高まった。

 

この議論を、生活保護行政の現場に10年以上携わった筆者は複雑な思いで聞いた。

 

保護申請者の自宅を訪問して事情を聞いている間中、震えていたおばあさん。

 

街で偶然再会した、元被保護者のおばあさんが

「うちなあ、生活保護辞退したんよ。

いつもケースワーカーに監視されているようで嫌じゃったんよ。

国民年金だけでも生活してるんよ」と言った言葉。

 

様々なことがが頭をめぐった。

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フキノトウ


 

生活保護法第一条(この法律の目的)この法律は、日本国憲法第25条に規定する理念に基づき、国が生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じ、必要な保護を行い、その最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長することを目的とする。

 

生活に困窮する国民に対する大変格調の高い法文だと私は今でも思う。

 

そして2条(無差別平等)すべて国民は、この法律の定めによる要件を満たす限りこの法律による保護(以下「保護」という。)を無差別平等に受けることができる。

 

第3条(最低生活)この法律により保障される最低限度の生活は、健康で文化的な生活水準を維持することができるものでなくてはならない。

 

第4条(保護の補足性) 保護は生活に困窮するものが、その利用しうる資産、能力その他あらゆるものをその最低限度の生活の維持のために活用することを要件として行われるものとする。

2 民法明治29年法律第89号)に定める扶養義務者の扶養および他の法律に定める扶助は、すべてこの法律による保護に優先して行われるものとする。

 3 前二項の規定は、窮迫した事由がある場合に必要な保護を妨げるものではない。

 

最終的には生活保護があるということは間違いではない。

しっかり頑張って生きて、どうにもならなくなったときは生活保護があるから安心という日本でありたい。

 

ただ私が担当していた時代、昭和40年代後半から、昭和が終る頃までは、法の適用に当たっては大変厳しい時代だった。

今でも覚えている。

 

昭和56年11月17日社保第123号通知(厚生省社会局保護課長・監査指導課長通知)が発出された。

これは暴力団関係者が絡んだ不正受給の多発を契機とし出された通知だったが、その中身は暴力団関係者の不正受給にかこつけて、すべての申請者に生活保護申請時の関係先調査照会に関する同意書の徴収を義務付けたもので、いわゆる生活保護の適正化という名のもとに、生活保護申請者への締め付けが強化された通知だった。

 

新規申請者を抑制する面接時の水際作戦とも言われた。

詳細な資産調査票や生命保険、預貯金調査票などを作成し、署名捺印した同意書を添付して関係先へ調査照会するのだった。

 

特に金融機関や生命保険会社などは、軒並み調査した。

面接窓口ではこの同意書への署名捺印を拒否して申請に至らないケースも多くあった。

また、確かに金融機関や保険会社への調査では未届けのものが結構判明した。

 

当時は車の保有は厳禁で、車の保有の有無が申請時の重要な要件の一つだった。

 

今、指摘されている扶養義務者への調査は冒頭の生活保護法4条2項にある通り、法で義務付けられており、ほとんど機械的に郵送・実地調査をしていたが、当時からこの調査に多くの期待はしていなかった。

援助を申し出る扶養義務者は数%でしかなかった。

 

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乙女椿は まだほとんどつぼみ

実は扶養義務者調査こそ、嫌がらせの何物でもないと思っていたが、今回、報道で知る限りでは30%前後の人がこの調査があることを嫌って申請をしていないと聞いてびっくりした。

私自身は戻ってきた扶養義務調査書を読みながら、肉親としてのつながりの度合いを測っていて、心配しているようであれば、実地に出かけて、被保護者(保護を受けている人)の状況を聞こうとした。

 

こうした経験から言えば、扶養義務者への金銭的援助を要請することは今の時代、特別な場合を除き、除外することだ。

資産、預貯金なども1年程度の短期保護の場合は一定程度の保有を認め、最終のセーフティネットと言っても受給しやすくする制度に変えていく必要があると思う。

 

 

一方、2015年4月からスタートした生活困窮者自立支援事業は、生活保護への一歩手前の支援を強化すると銘打って主に全国の社会福祉協議会に寄り添いサポートセンターを立ち上げた。

私は自分の経験からこの制度は生活保護の受給者増への防止対策、防波堤にしようとするのだなあと直感した。

 

 

生活保護法は最低限度の生活を保障するとともに、自立助長を目的としている。

そしてその中身は生活する中で必要な8つの扶助(生活、住宅、教育、医療、介護、出産、生業、葬祭)とともに、特別な場合の一時扶助や弱者への加算制度、入学準備金や就労自立給付金なども用意された、生活に不安の少ない制度を作っているのである。

 

不安があるとすれば生活保護を特別なものとして、受けることが恥辱のような意識を植え付け続ける運用なのだと思う。

寄り添いサポートのような屋上屋を重ねた制度を導入しようとすることこそ政府の魂胆が透けて見える。

 

田村厚労大臣は生活保護は権利ですとPRしたけれど、本当にそう思うならば、時代に合わせた、もう少し受けやすい生活保護制度に改善すべきだと思う。

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すべてはアンダーコントロールから始まったⅡ

 

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梅が満開、春が来た



日本オリンピック組織委員会森会長の「女性がたくさん入っている理事会の会議は時間がかかります」「女性っていうのは競争意識が強い。誰か一人が手を上げて言われると、自分も言わなきゃいけないと思うんでしょうね。それでみんな発言されるんです」などという発言をめぐる辞任劇は、後任に盟友で組織委員会評議委員会議長の川淵三郎Jリーグ初代チェアマンに決まりかけたが、その内幕をはしゃぎすぎの趣で川渕さんが報道陣に伝えたことから、旧態依然とした会長職の密室劇という四面楚歌の批判を浴びて、内諾を辞退するというお粗末な結果になった。

 

女性蔑視発言にしても、密談とおしゃべりにしても時代感覚が全くない古色蒼然とした世界の遺物の風景を発信して、内外から批判されたのは当然といえば当然のことだった。

そして、会長職の人選は混迷を深めている。

菅首相の「会長は若い人か女性がいいのではないか」という発言もあり、川渕会長案は一夜でひっくり返った。

女性がいい、若い人がいいということは別にして、いずれにしても手続きにのっとった透明性の高い選任をすべきだと思う。

 

今日のモーニングショーでは候補者として、女性としてオリンピック金メダリスト高橋尚子、銅メダリスト小谷実可子、銀・銅メダリスト有森裕子、銅メダリスト橋下聖子、銅メダリスト山口香などがあがっていた。

 

男性では、前スポーツ庁長官、金メダリスト鈴木大地、現スポーツ庁長官、金・銅メダリスト室伏広治などの名前が挙がっていたが、もう一人あの安倍晋三元首相の名前も挙がっていたことにびっくりした。

 

コロナウイルスといい、会長辞任のドタバタ劇と言い、そして一昨日の福島・宮城の震度6強の激震といい、私はこういう事態のすべてが、あのアンダーコントロールが元凶であると思えて仕方がないのだ。

 

言いがかりのようにも聞こえるかもしれないが、あのアンダーコントロールという大嘘こそが今日の事態を生み出したことは間違いないではないか。

コロナウイルスだって、オリンピックの開催国でなければ、開催を意識せずに打つ手もあったというものだと思う。

その張本人を担ぎ出そうという。

一部だけかもしれないが待望論があること自体信じられない思いでいっぱいだ。

 

あの御仁は、調子のいい時は我田引水でラッパを吹くけれど、究極、困難が予想されだすと、おなかが痛くなるのだ。

そして、責任を口にしたことを忘れて任務を放り出してしまうのだ。

 

しかし世の中には何とお人好しが多いいことか。

森友も加計も桜を見る会も、河井問題も、さらに検察までも権力の手中に取り込もうとしたことも忘れて、シンゾーさんを待望するという心境は理解しがたい。

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新型コロナウイルスの3つの素朴な疑問 政府のきちんとした説明が欲しい! 

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大きな万年青の実を見つけた


新型コロナウイルスによる2度目の非常事態宣言は3月7日まで延長されたけれど、多くの国民の協力により、新規感染者数は目に見えて減少してきている。

今日のテレビは街に出る人の数はあまり減っていないと報じていたが、今の感染者数は2週間前の感染状況を映し出しており、今の感染状況は2週間後に現れるのだから何ともややこしい。

 

この新型コロナウイルスが我が国に登場して1年が経つ。

 

私は我が国の新型コロナウイルス対策のニュースを読みながらいつも3つの疑問が湧く。

それらについては、ワイドショーや報道特集やニュース解説などでいろいろと聞いてはいるが、何が真実なのかがわからない。

あふれる情報の渦の中で、国の公式見解をぜひ聞きたいのだ。

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馬酔木の花芽も膨らみ始めた


 

その一つはPCR検査のことだ。

PCR検査は感染拡大を防ぐ最大の検査として、各国で採用されており、現在、新型コロナ対策に成功していると言われている中国や台湾、ニュージーランド、オーストラリアなどでは徹底した検査と隔離政策が採られている。

感染がもっとも拡大したアメリカでは、少し古い数字ではあるが昨年11月30日までの検査数は累計1億9114万余件、アメリカの総人口の58%の検査を実施したということだ。

 

一方、日本では今年2月5日現在、一日33,043人実施していた。

過去最大の検査数は昨年9月29日の103,043人で、累計では6,731,473人となっており実施率は5.3%に過ぎない。(厚労省ホームページ)

 

コロナ対策の当初のころ、国の感染症対策はもっぱら厚労省の医系技官の領域にあり、検査をクラスターや濃厚接触者に限定的に実施する方針としたという説や、むやみやたらに検査しても陽性者を発見できる数はコンマ以下であり保健所が疲弊するだけだという説など検査の拡大には否定的であったという。従って、政権中枢がいくら検査拡大を叫んでも大幅な拡大には進まなかったのだという。

 

本当のところはどうなのだろうか。

 

一方、無症状者を見つけ出して隔離しなければ最終的に感染の拡大を防止することはできないという説がある。

世界の趨勢が徹底した検査に向かう中、日本の検査方針については国にはもっとわかりやすく説明してもらいたいものだと思う。

 

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冬の路傍のきのこ 毒キノコ?


 

二つ目の疑問は医療崩壊の問題である。

 

日本の病床数は人口当たり世界一という。

ICU(集中治療室)やHCU(高度治療室)はアメリカ、ドイツについで3番目の保有率であり、CTやMRI保有数も世界一だという。

 

単純に世の中を見回して、何と病院の多いことかと思っていたが、この緊急時に病床が不足する、医療崩壊だといわれてもにわかに信じがたい思いをするのは私だけなのだろうか。

よくいわれるようにいくら病床があっても専門的な医師や看護師の数が限られている中で、感染者の急増に対応する体制が取れなくなっているという説明は理解できる。

 

医師・医療経済ジャーナリストの森田洋之氏は、文芸春秋2月号「日本だけなぜ医療崩壊が起きる」の中で次のように述べている。

 

「要するに日本の医療システムには、病床やスタッフを機敏に増減させられる『縦の機動性』も欠如していれば、それらを充足地域から不足地域へと横に移動させる『横の機動性』も欠如しているのである。」

この指摘も的を射ているように思う。

こうしたことは、それこそ菅首相得意の政治主導で何とかならないものかと思うのだが、国はまったく知らぬ顔の半兵衛を決め込んでいるようにしか見えない。

 

昨日のニュースで、軽症・中等症のコロナ患者の多くは4~5日の入院でPCR検査が陰性であれば療養病棟への転院で十分なのだが、コロナ患者であることを理由に転院が進まないという問題点をあげていた。

こうした事例なども政府(行政機関)が間に立って、不安の解消に努め、それこそ万一の場合は、損失補償の手当てをすることを明確にすれば速やかに解決するように思うのだが、とにかく説明、説得、PRが足りなさすぎるのではないかと思ってしまう。

 

三つめはワクチンのことだ。

 

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ボケの花

新型コロナワクチンはアメリカ・ファイザー製、モデルナ製、イギリス・アストラゼネカ製など海外メーカーとの契約が進んでいるという。

ただ、先進7か国(G7)でいまだにワクチン接種が行われていないのは日本だけという。

菅首相は2月中旬からワクチン接種を始めるというが、決まっているのは医療従事者への1万本だけだとモーニングショーで報じていた。

 

こうした中、日本の科学技術はどうしたことかと素朴な疑問がわく。

毎年のように理化学者のノーベル賞受賞者を輩出している分野で、日本のワクチン開発はどうなっているのかと疑問を持たずにはいられない。

 

日本学術会議の会員候補者を排除している場合ではないだろうと思ってしまう。

重箱の隅をつつくような難癖をつけて権力者が悦に入っている場合ではないのだ。年間10億円の学術会議運営費に目くじらを立てている場合ではないのだ。

 

日本の科学技術が遅れを取ったのは、目先の金になる儲け話にうつつを抜かして、予算配分をしてきた官僚や政治家の責任と言っても過言ではないと思う。

地道な基礎的研究を支援する、学問の本道を支えておかなければならなかったということだと心底私は思う。

 

新型コロナウイルスはこうした手抜かりのすきを突いてしたたかに挑戦してくるのだ。

 ワクチンは政府の言うような計画で本当に実施できるのか。再び後手後手に回って、弁明や弁解のダッチロールを繰り返してもらいたくない。

私は政府にここであげた三つの疑問に筋の通った説明をしていただきたいのだ。

 

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菅総理!もうニンジンぶら下げ政策はやめてください

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路傍に咲く水仙が早春の香りを放つ


菅総理の政策の中では、特に自らの成功例としていつも自慢するふるさと納税制度や、失速気味でも尚も巨額の追加補正を組んでコロナ騒ぎの落ち着くのを待っているGOTOトラベルキャンペーン事業を始め、携帯端末と使用料金などの値下げ、地方に混乱を持ち込んだIR(統合型リゾート)いわゆるカジノの誘致などなど、国家100年の大計を目指すにはあまりにも低劣な次元の政策ばかりが目立つのだ。

 

国民の欲得を刺激させる政策ばかりではないか。

ふるさと納税はどこの自治体も税収増に苦しんでいる中、納税額を住んでいる自治体とは別の自治体に寄付させることで、返礼品を獲得できると喧伝し、自治体間の競争をあおっている。

その町に住む住民に愛し慈しまなければならない郷土への納税義務を忘れさせ、欲得に任せようとするものではないか。

 

よくこんな制度を思いついて自慢するものだとあきれ果てるのは私だけではないだろう。

結局は所得税を多額に収める者たちだけに与えられた不公正な税の執行(見返り品)を招いただけなのだと思う。

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早朝のウォーキングで西の空に沈む満月が見えた


 

また、菅政権肝いりのGOTOトラベルキャンペーン事業は、今のコロナ禍の状況の中で、観光・旅行業界への支援策として1兆円を超える税金が投入されている。

これも、お金に余裕がある人や時間にゆとりのある人たちだけへの優遇策であり、コロナ対応で休む間もない医療関係者や介護関係者、そして生活苦にあえぐ人々には何の役にも立たないのだ。

 

いっときGOTOで得をした気分になった人たちもGOTO事業が終わったら、通常料金が高くてとても旅行する気にならないだろうから、その時はその時でどうするのだろうと考えてしまう。

 

携帯端末や使用料金だって、世間の耳目を集めるには格好の話題であり、確かにスマホ業界のいい加減さにはあきれてはいたが、政府がひと声上げるや先を競って、大手業界の料金引き下げ競争となり、結局は安売りスマホ業界を一掃し大手で業界を寡占化する狙いがあり、政権にすり寄り忖度しているのだというようなことを聞くとこの国はどうなっていくのかと思ってしまう。

 

そしてIR(統合型リゾート)などと耳障りの良い言葉にしているが、要は博打場を町に持ってくるということではないか。

 

国民を馬鹿にしたような、ニンジンぶら下げ政策はもうやめてほしい。

 

今朝、緊急事態宣言は1か月程度延長する方向で検討という記事を読んだ。

今まさに、GOTOトラベルキャンペーンの補正予算などやめにして、コロナ禍で大幅な減収を余儀なくされているあらゆる業種や生活困窮する人々に対して、減収補填などの直接支援を行うべきではないか。

さもないと頑張ってきたみなさんがバタバタと倒れてしまうと強く思う今日この頃です。

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