今、地方公共交通の足・バス、タクシー事業に異次元の変化が起きつつある その肝は使いやすい、使いたくなる交通網の再構築だ

小学校の生け垣を利用した年末恒例のイルミネーション「光の実」

JR各社の地方赤字鉄道路線の存廃を協議する「再構築協議会」の設置が検討される中、地域交通の在り方をめぐって、様々な試行が急速に展開されている。

 

旧国鉄、現在のJR各社の鉄道線は新幹線をはじめ、本線と支線によって全国に張り巡らされてきた。 しかし、道路網の整備、モータリゼーションの発達や人口の急速な減少などから、特に地方ローカル線の乗客数は著しく減少している。

 

 私の生まれ育った芸備線東城~備後落合間の運行は1日3往復のみ。 収支率(費用に対する収入の割合)は0.4%、100円を稼ぐために25,000円がかかるという。

それでも廃止反対の声も強く残っている。

昔は鉄道沿線を並行して走るバスの姿も各地で見られたが、最近では、大都市においても鉄道と競合するバス路線は減少していることはテレビ東京の「路線バスの旅」を見ていればわかる。

「路線バスの旅」では、もう一つ、県境をまたがるバス路線が何と少なくなっているかということにも気付かされる。

真庭市のコミュティばす『まにわくん』



地域交通の衰退は、前述したように道路網の整備、モータリゼーションの発達や人口の急速な減少などが基本的な原因と考えられるが、もう一つ加えるならば、あの平成の大合併により、一定の中枢管理機能を備えた市町を一つの都市に統合したため、従来持っていた中枢機能がそがれたことも大きい。

合併して中枢機能を拡大した都市はそれほど大きな影響を受けていないが、そがれた市町はみるみるうちに衰退していったということだ。

 

こうした中で、地域交通の在り方について考えてみた。

まず、1日3便~数便などという鉄道路線を頼りにする妄想はやめるべきだ。

ひたすら、自己満足の感傷に浸っているようにしか見えない。

冷静になって合理的に考えるならば、これだけ整備してきた道路網やモータリゼーションの発達を基本に据えた地域交通網のあるべき姿を検討すべきだと言いたい。

200円キャンペーンのポスター



こうした中で、私の住む自治体周辺の地域交通の施策の展開状況をご紹介します。

私の現在住んでいる自治体では、岡山県下を対象にバス事業について令和5年12月1日から令和6年1月3日まで路線バス運賃最大200円キャンペーン事業を展開している。

一部でも岡山市内を運行する路線バスの全ての便で1回の乗車が最大200円になる。

路線の最長は岡山~真庭市勝山間で通常料金2220円が200円になるというまさに異次元の値引きなのだ。

実施主体の岡山市にしてみれば、クリスマスやお正月に向けて県下から岡山市に買い物に来てくれて賑わうならば、こうした事業を県都として実施するのは県都の役割だと考えたのだろう。 素晴らしい取り組みであり、それでこそ県都だと私は思った。

ハレカハーフのパンフレット



さらに、2022年7月20日から岡山市において実施されている路線バスの運賃が半額割引となる『ハレカハーフ』事業に令和6年2月1日から我が自治体も参加できるというもので、現行370円が190円になる。

ハレカハーフの対象者は65歳以上高齢者と障害者等(身体障害者、療育手帳、障害福祉サービス受給者証、精神障害者保健福祉手帳、特定医療費(指定難病)受給者証)だ。

申請書類には顔写真を張り付けて提出とあった。

そして、我々のバス路線を運営する宇野バスでは、これまで月に1度から2度実施していた無料バスデーを今月17日にも実施するとホームページで広報していた。

 

こうした、矢継ぎ早の地域交通に対する自治体やバス事業者等の支援対策の実施の効果がどう出るか、その評価が次の手を打てるかの分かれ道となるが、先日利用した私や友人は利用者が確実に増加していると意見が一致した。

やはり自治体と事業者間の連携、さらに事業者間の連携協力関係が重要だと思った。

 

そして、もう一方、現在盛んに実施している地域コミュニティバスの運行だ。

これは各自治体でそれぞれの特徴、特性を加えて実施されているが、成功事例ばかりではない。

ほとんどカラで走っている路線もある。

私のところで1日2回走るコミュニティバスはほとんどガラガラだ。

高齢化が進んではいるものの、まだまだ車を手放す人は少ない。

それに、1日往復70便近く路線バスが通る場所にコミュニティバスが必要なのかなと思う。

恐らく為政者は公平を旨としているのだろうが、それは考え過ぎだ。

ワクワクタクシー券 



また、タクシー事業に関しては「がんばろう赤磐WAKUWAKUタクシー券配布事業」として

  ・令和5年度に75歳以上となる方

  ・令和5年1月1日以降に母子健康手帳の交付を受けた方

  ・身体障害者手帳を所持する方

  ・療育手帳を所持する方・精神障害者保健福祉手帳を所持する方

 を対象者として、一人当たり500円×20枚(10,000円分)のタクシー券を交付するというものである。

利用期間は令和5年9月1日~令和6年2月29日で、まさに至れり尽くせりだ。

 

この施策も車を所有している高齢者にとっては、ほとんど使わずに終わっているようだ。

75歳以上の高齢者と言っても様々である。 障害者と言っても1級~6級まで、障害の程度には大きな差がある。

すべてを公平平等にする必要があるのかと考え込む。

 

いずれにしても、現在、地域交通の在り様をめぐって、様々な取り組みが進められているが、過去にとらわれず、現在の生活の質を向上させる方向で取り組むべきだ。

各社の高速バスと路線バスとコミュニティバス等々の時刻表を擦り合わせる努力はどれほど行われているのだろう。

バスのフリー乗降制はどの程度実施されているのだろう。

 

まだまだ取り組むべきことや改善すべきことが多くあるように思えるのだ。

 

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