積読の文芸春秋を再読する

f:id:inoko2019:20200624204132j:plain

こんな色のアジサイも植え込みに咲いていた


現役時代、文芸春秋を定期購読し今も続いている。

どなただったか、雑誌の対談で「文芸春秋を完読している奴なんていないよ。当たり前だよ。」とおっしゃっている人がいて大いに同感したことを覚えている。

私も魅力的な目次に目を通すが、ほとんど読まずに本棚に並べていた。

紙面は黄色く変色しているものもある。

 

完全にリタイア―して、まず終活の手始めは本や雑誌の処分である。

実は数年前にも文芸春秋の処分に取り掛かったが、一応目を通してと考えたのがいけなかった。

芥川賞は全部読もうとか、この記事は取っておこうと所有欲が出てきて、結局、5~6冊を処分して中断してしまった。

 

今回は目次をざっと拾って気に入った記事を一つだけ読んで処分しよう。

その中で取っておきたい号はもう少し本棚に並べようと方針を立てた。

 

そこで今回は現在のコロナショックの状況の中で、2011年3月11日に発災した東日本大地震に関連する状況を捉えた知識人の見解に学ぶことは何かないだろうかと記事を拾った。

大震災は3月11日に発災したが、文芸春秋は4月号が出たばかりで、大震災関連の記事は5月号に出ていた。

 

総力特集 東日本大震災 日本人の再出発とあり巻頭記事は「天皇皇后両陛下の祈り」侍従長 川島 裕 だった。

それから

〇試練に耐えて、われらなお力あり 石原慎太郎 

〇今こそ、切に生きる 瀬戸内寂聴 

〇台湾は日本の恩義を忘れない 李登輝 

〇「想定外」か?―問われる日本人の想像力 柳田邦男 

 

そして緊急寄稿として櫻井よしこ堺屋太一など41人の識者の意見が掲載されていた。

このほかにも震災、原発事故に関する記事が組まれていた。

私の目に留まった記事は柳田邦男が書いた「想定外」か?の中の「起こりうる可能性があるものは、確率が低くても必ず起こる」という言葉だった。

 

あの福島原発事故を目の当たりにするまで、原発の危険性は指摘されながらも気にもしなかったのが多くの日本人だったのだ。

南海トラフ地震は90年~265年の周期で起こっており、最短では2036年の可能性があり得るという。

また首都直下型地震は2013年に国の有識者の会議の意見として今後30年以内に70%の確率で起こると予測しているのだ。

 

f:id:inoko2019:20200624210324j:plain

柳田邦男が書いた「起こりうる可能性があるものは、確率が低くても必ず起こる」ことからすれば、これだけの確率からすれば起ることは間違いないとも言える。

今回のコロナウイルスも10年程度で発生を繰り返していることからすれば、全く想定内のことなのだ。

問題は間違いを繰り返す人間の側にあるのだろう。

 

「災害は忘れたころにやってくる」と寺田寅彦は言ったけれど、たかだか人生80年で人は交代していく。

人間は忘れやすいし、体験は一代で終わってしまう。なかなか引き継いでいけないし、こうした中では案じてどうなるということもあろう。こういうことを繰り返しながら人類は破滅に向かうのか、はたまたしぶとく生き残って行くのかということなのか。結局この特集号は永久保存号とすることにした。

 

これでは今回も処分は進まないだろうと予測した。

 

ランキングに参加しています。気に入っていただけましたら、

↓をクリックして応援してください。
全般ランキング