
7月6日未明の熊本県南部を襲った豪雨は60名を超える死者・行方不明者が出ている。
思い起こせば2年前のちょうどこの時期に西日本豪雨で岡山県、広島県、愛媛県などで200名を超える死者が出た。
昨年は10月に関東・東北地方を襲った令和元年東日本台風が記憶に新しい。
死者・行方不明者は全国で89名とあった。
また、2016年には震度7を観測した熊本地震が発生し、直接死50名、関連死218名計268名の死者が出た。
こうしてみると死者50名を超える災害は毎年のように発生しているのだ。
岡山県倉敷市を襲った豪雨は高梁川の支川の小田川の水が本川となる高梁川増水で流入できずに、真備地域に逆流(バックウォーター)し、増水した水は支川の堤防を決壊し大氾濫洪水を起こした。
真備町に居住していた知人は、大雨洪水警報の発令とほぼ同時に、まず車の冠水を心配して2台の車を高台に移動させたという。
ただ、川沿いにある自宅周辺の様子を見ると、水は見る間に増水し自宅に迫り、戻ることは危険が大きいと知って、避難所に向かい夜を明かした。
結果的には車の冠水を避ける、恐らくエンジン部分に水が入らないようにと最初は軽い気持ちで移動させたのではないかと思う。
あの一帯で甚大な被害を発生させたのは、数十年にわたり大きな災害の発生がなかったからだろう。
多くの住民は大災害にあうことなど考えてもなかったのだと思う。
不意打ちと言えば不意打ちではあるが災害は忘れたころにやってくるのだ。
ちょうど、2011年6月号の文芸春秋を読んでいるところだった。
東日本大震災の特集として、特別企画「文芸春秋88年が伝えた震災・津波・被曝の証言」という特集だった。
その中に2006年に亡くなった作家の吉村昭さんが書いた、「阪神大震災 歴史はくり返す」という記事に目が留まった。
その中で吉村氏は江戸時代の大火に触れ「結局、最も危険なものは、火事の折りに避難するものが家財その他を積んで引き出す大八車と断定した。
それらの大八車は、道路をふさいで火消しの動きを阻害し、避難するものを身動きできなくする。
さらに積んだ荷物とともに大八車に引火し、それが延焼の媒介になっている。
幕府は、出火時に大八車を引き出す者に厳罰を処すると警告した」とあった。
また「東京大空襲で私の家も焼けたが、焼夷弾が家とその周囲に落下したとき、私はあらかじめ用意しておいた食料品、衣類を入れたリュックサックを背負って外に出ようとした。
その時、家の奥から出てきた父が『荷物などかつぐな。手ぶらで逃げろ』と怒声を浴びせた。」
まさに、東北大震災の時に言われた「命てんでんこ」の様子が描写されていた。
そして、記事は続く。
「関東大震災での大八車、荷馬車は現在の車(自動車)である。
中略…… 車はそれぞれガソリンを内蔵し、車そのものが発火物である。
それらの車が避難する人の運転で一斉に路上に出たらどうなるのか。」という記述を読みながら、いざというときは身支度など考えず、身一つで逃げるが勝ちだと思い至ったのだ。
ただ、西日本豪雨の時、知人が車を使ったことを擁護すると、警報が出た直後の早い段階で、水禍に襲われる前の脱出だった。
でも事と場合による。
今回の熊本水害の様子をテレビで見たが、水が浸水して道路が水没するまでの時間は15分ぐらいだったから車を使うときは周囲の状況をよく調べる必要がある。
結局知人の車は助かったが、家は2階まで水没して居住不能になった。
何はともあれ、最近の水害の被害状況は行政のハザードマップ通りのことが多く、改めて居住する地域のハザードマップを確認しなければならないと思った。
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