昨日(29日)、残っていた柚子の柚子絞りと栗剥きの合間に番組を見た。
年の瀬の大忙しの昼日中にテレビなど見る暇があるかいなという方が大多数だろうけれど、なかなか面白かった。
2019年に放映された36本のドキュメンタリー番組から視聴者が「もう一度みたい1本」を投票してベストテンを付けるという趣向だった。
紹介されるドキュメンタリーはどれを見ても惹きつけられた。
それぞれのコメントもなかなかいい味がした。
第1位は10年に一度の撮影会。
10年に一度阿蘇高原で開かれているバイク車の撮影会だ。
10年に一度集まってくるという、それぞれの人生模様が心に残る。
2位はレンタルなんもしない人、3位は出会いを求めて“
相席ラウンジ”だった。
私としては、2位のレンタルなんもしない人がびっくりで面白かった。
職業として成りたっているのかは別として、Webを介して一日3~4件注文が来るという。
そばにいてくれるだけでいいのだそうだ。
紹介されていたのは愛犬との散歩に同行してほしいとか、カラオケで自分の歌を聴いてほしいとか、海外での美容整形に行く準備をする間にそばにいて欲しいとか、私の手料理を一緒に食べて欲しいとかだった。
「なんもしない人」は大阪大学大学院を卒業した高学歴者だ。
就職していたが、人間関係の不安を感ずる中で、家庭を持って小さな幸せを大事にしたいという気持ちが強くなり退職したという。
結構なイケメン、他人に警戒感を与えない、人の好さそうな表情をしていた。
てっきり独身と思っていたが、子供もいた。
奥さんは無理をして会社にしがみつくことはないと理解を示していた。
ところで「なんもしない人」をレンタルして、依頼者は何を求めるのかと私などすぐに思ってしまう。
しかし彼は積極的には何にもしない。
雇われているのだが荷物を持ちましょうかとも言わない。
依頼者から言葉を掛けられないと自らは発言しないようだった。
もちろん、お世辞やお追従などどこ吹く風だ。
でも冷たくしているのではない。
カラオケ同伴をリクエストした音痴不安を持つ依頼者は、歌い終わって、感
想を聞いた。
「普通にちゃんと歌えてる」とほめるでもけなすでもなく淡々と感想を述べた。
手料理の依頼者には「あーうま」と満足感を示したが、「もう少しどうですか」と言われると「もうまんぷくです」と即座に断っていた。
感情移入をしないのが秘訣かと思ったが、そう簡単なことではない。
私などつい一言、二言以上に比較したり批評したりしてしまう。何かしゃべらないと申し訳ない気がするのだ。でも、ここでの依頼者たちにそういう言葉は余計なのだと知った。
私は心配事相談を時折しているが、依頼者には三通りくらいあって
一つは解決策を提案してもらいたいという人、二つ目は相談は二の次で話し
相手になってほしい人、三つ目はただただ聞いてほしい人である。
最初のころは、どれもこれも困っている人への問題解決の処方箋を提案することが使命のように思っていたが、街角の「心配事相談所」には話を聞いてもらいたいだけの人が大勢いるんだとようやくわかってきた。
それはそうだ。
解決への処方箋を求めている人なら、その道の専門家のところに行けばいいのだ。
そういうことを考えていたら「レンタルなんもしない人」のニーズがあることは時代の要請なのかと気が付いた。
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