今日は、佐原駅前8時56分発のコミュニティ循環バスで佐原あやめパークで開催中のあやめ祭りに行く。
乗車時間は40分。
香取市内の北部地域を大きく半周する。
田んぼの中の細い田舎道を走りながら行く。
とても遠く感じた。
あやめパークの入園料は、65歳以上割引があり、あやめ祭り開催中は800円のところ700円になる。
入ってすぐ、園内舟巡りが目についた。
料金を聞くと大人500円。
昨日の小野川舟巡りが1300円と言っていたので、これは安いと飛びついて、6人のジジババはすぐに乗船し、姉弟一行の貸し切り舟で20分ほどの遊覧を楽しんだ。
船頭さんが女性で優しい竿遣いだ。
船頭さんにあやめ園の歴史を聞いたところ、あやめ園の歴史は意外に浅く、開園は1964年。
かつて利根川水系の水路が発達して、どこの農家でも舟を農作業や運搬に使い、交通の足として使っていたが、自動車の普及に伴う道路網の整備とともに、水運がすたれていく中、あやめ園を開園したところ大当たり、現在の盛況につながっているということだった。
こんな成功例はなかなかないけれど、最初に考えた人はエジソン級の大手柄だと思った。下船した後は、園内に咲き乱れるあやめや花しょうぶ、紫陽花を鑑賞しながら写真に収めた。
11時05分発直行便で佐原に戻り、お昼はウナギだ。
佐原のウナギは有名だけれど、予約が取れず、時間がかかるかもしれないと最初にウナギを提案した弟は時間を気にしていた。
私は、行ってみて、それでだめならあきらめようと粘って、ウナギの山田に歩く。
店の前に数人の客が立っていた。
順番表があり我々も記入した。
われわれは17番、前に立っている人に聞くと、今店内に入っているのは7番までだという。
多くの行列ができていないのは、準備ができたら電話で知らせると書いてあるからだ。
今ちょうど正午、まあ、待てるだけ待ってみよう、近くに図書館があったのでそこで時間を過ごそうと提案し、6人は近くの図書館まで戻った。
それからほぼ1時間、図書館内をあっちに行ったりこっちに行ったり、うろうろしながらウナギ屋さんからの連絡を待ったのだった。
携帯が鳴った。
様子を見に行っていた弟からだった。
もう少しで順番になるというので、図書館で待機していた一同がウナギ屋さんに向かった。
歩いて3分ほどだ。
店の前に弟がいた。
店からの電話はまだ鳴らないが、食事を終えた人に番号を聞いて、もうすぐだと思った。と言っていたら店からの電話が鳴った。
用意ができたのでお入りくださいという連絡だった。
6人が一緒に座れる小上がりのテーブルに案内された。
+
メニューには「うな丼吸い付き並 3900円、上 4600円」肝吸い付きも同額だった。
以下じか重吸い付き・肝吸い付きとうな重吸い付き・肝吸い付きそれぞれ並と上があったけれど、お値段はすべて並が3900円、上が4600円の2種類だった。
じか重という言葉は初めて耳にした。
ウナギに関して、教養も素養もない私が、このお店のうんちくを語る資格などありはしないので、検索してみるとじか重はご飯の上に鰻がのっている。
うな重は鰻とご飯が別々言う説明だったが、それではあまりにも物足りないではないかと専門的、学問的、歴史的な意味を期待していたので不満が残った。
そして、私は初めて聞いたじか重と言う言葉に引き寄せられて、じか重並を選択した。10分ほどでじか重が運ばれてきた。
目の前で見る、じか重の鰻は、焼き上げたと言ってよいしっかりとした焦げ目がこれまで見てきた優しい色合いと焦げ目の鰻と違って、荒々しく雄々しく、作り手、焼き手の強い意志を感じた。
鰻の香ばしさと口の中でとろけていくような柔らかさの調和がなんとも言えず、美味の極致にいざなわれる。
昨年、琵琶湖の東岸長浜で食べた鰻も当時、絶品と評したが、比べると上品そうにこしらえたという、テクニックにこだわりが感じられたように思った。
この山田の鰻は鰻の調理やうま味の中に、300年の技術、技の歴史が凝縮された、もはやゆるぎない伝統の確立されたうま味の極致を確立しているように思った。
もちろん、適度に冷えたビールもうまい。
千葉で飲むビールの冷えの管理は、どこのお店で飲んでも、ほとんどマニュアルで統一されているようにきりっと冷えて美味しい。
これは新発見だ。
山田の鰻にすっかり満足した我々は、預けた荷物をホテルで受け取り、14時12分発佐原駅から一路犬吠埼に向かった。
銚子駅で銚子電鉄に乗り換える。
現代の鉄道で、これほど老朽化した車体を使っていることにびっくりした。
錆やひび割れが目立つ。
むしろこのような車両を誇示し売りにしているようだ。
途中、開けた列車の窓から冷たい風が入ってきたので、窓を下ろそうとしたが、取っ手が言うことをきかずに苦戦していた。
若い女性車掌が飛んできて、彼女に替わった。
けれど、窓が下りない。
が、数秒間ガタガタと揺さぶったら、突然、すっと窓は閉まった。
車内のみんなが、気にしていたのだろう。
窓が閉まると歓声と拍手が鳴った。
寂しいローカル線のちょっとの間の明るい光景だった。
15時30分犬吠駅に到着。
迎えの犬吠埼ホテルの車に乗車して、本日宿泊の犬吠埼ホテルにチェックインした。
この犬吠埼ホテル、築後50年以上は経っているような、古き良き時代の日本旅館だ。
部屋は10畳と6畳の二間続きを二人で泊まる。
オーシャンビューの広いテラスが付いている。
早速、外を散歩してみる。
ここの温泉に入りに来たという地元の夫婦連れの高齢者に出会った。
泊り客と思ったのだろう。
どこから来たのかと私たちに問う。
「岡山」と返すと「おかやま?」と言って、少し沈黙があって「サミットをした広島の‥‥」と聞く。
「そうそう広島の隣の岡山県から」と言うと「車で?」と聞き返す。
「まさか‥‥、飛行機で来ました」と答えると「よほど遠くから来た旅行者を見た」という目になった。
でも、そうかもしれないとも思った。
私は千葉に姉たちが住んでいるから千葉県にはよく来るけれど、あまり旅行をしなかった30代ころまでは、東北の山形県や岩手県、秋田県の位置などあやふやなことだった。
東京のいとこの連れ合いなども、瀬戸大橋が岡山県と香川県にかかっていることが分かっていなかったし、山口県と岡山県を勘違いしていたこともあった。
そんなことはしばしばあることなのだ。
そんな会話をしたご夫婦に妙に親近感を持ってしまった。
それから私も温泉に入った。
夜は旅館料理。
銚子電鉄の娘車掌さんに、今日は銚子の犬吠埼ホテルに泊まるんだというと「わあー凄い」と驚いてくれた。
「今の旬の魚は何かな」と聞くと即座に「イワシがたくさん上がっているよ」と言った。
うちのカミさんは青魚が苦手なんだけどと思った。
さて今夜の料理は娘車掌さんの言った通り、イワシの酢の物、イワシのかば焼き、イワシの刺身などイワシのオンパレードだった。
今の時期、入梅鰯(にゅうばいわし)と言って、イワシが一番おいしいらしい。
カミさんも地元で獲れたての魚はおいしいと珍しく口にしていた。
今夜も冷えた美味しいビールはもちろんのこと、ワイン2本、日本酒と焼酎も飲んだ気がする。
おやすみなさい。
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