ロシアによるウクライナ侵攻が問いかけた根源的課題

                  初夏の花1

 

いよいよ5月9日が迫ってきた。

第2次世界大戦におけるロシアの対独戦勝記念日である5月9日にプーチン大統領が何を決断するか、様々な憶測が飛び交っている。

 

 

2014年、ロシアは圧倒的な軍事力によりウクライナクリミア半島を奪取した。

その後、ウクライナは臥薪嘗胆、西側からの軍事援助を仰ぎ訓練を続け戦力を整えたという。

そして、ゼノンスキー大統領の不屈の闘志とリーダーシップ、役者出身の、世界を惹きつける表現能力などにより、ウクライナ国民の戦う心に火をつけ、NATOEUをはじめ、国連加盟国の140か国の国々の支持を得ての戦いとなった。

 

今やウクライナの国土を舞台に、ウクライナ人を戦闘員にした、NATO対ロシアの代理戦争の様相を呈しているのだ。

 

初夏の花2



この戦争をどう読み解けばいいのだろうと考え込んでしまう。

その一つは、ウクライナを舞台に、ウクライナ人を戦闘員にした戦争は、ウクライナのみが国家の存立をかけた戦いをしており、西側諸国は直接、血を流すことのない戦いではないか。

名目上はウクライナを徹頭徹尾支援する戦いではあるが、実体はもはや狂気のプーチンを排除するためのウクライナ人を使っての戦いではないか。

ウクライナ人を犠牲にして、プーチンをつぶす、自国民の血は流すことなく、目的が達成できればこれほどうまいことはないというのは言い過ぎなのだろうか。

結局、ウクライナ人の最後の一人まで、或いは、ロシアは戦費が尽き弾薬もミサイルも打ち尽くすまで戦うのだろうか。

流石にそうはなるまいけれど、そのような道程を経ながら落ち着くところへ落ち着くのかもしれないとは思う。



とは言え、自分の身になってこの問題を考えてみると、もしもウクライナNATOの一員であったなら、ロシアの侵攻はこれほど簡単には決断できなかったはずだということだ。

ということは、翻って日本を考えるとき、日米安保条約に与する意味はやはり大きいと思わざるを得ない。

 

戦争を知らない子供たちとして太平洋戦争後に育った私たち世代は、日米安保条約の2度にわたる締結・改定期の反安保、反米運動の洗礼を受け、それにつながる全共闘運動は今から思えば、ままごとのような観念主義に陥り、多くの学生、青年が道を誤ったのだ。

大国アメリカの言いなりにならざるを得ない日本に失望していたのだが、今、ウクライナ危機を目の前にすると、「寄らば大樹の陰よ。」という夕餉の父の言葉を思い出す。

当時は反発したものだが。

 

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日本は敗戦後、新憲法を制定し、「平和主義」を掲げ、第9条1項は「‥‥国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。」2項は「前項の目的を達成するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。」と規定した。

 

私たちの若いころは、この憲法を文脈通りに読み、自衛隊の存在に大きな疑問を持った。

しかし、今日の世界状況や東アジアを取り巻く状況を眺めると、確かにそんなに単純なことではないと理解する。

相手はいつなんどき襲い掛かってくるかわかったものではない、虎視眈々と狙っているのだということは今回のウクライナ侵攻でわかるし、いくら平和主義を唱えて、よい子ぶってみても、なぜ、アジアの地でアメリカの若者が日本人が戦わない戦線で死を賭して戦う必要があるのかという主張ももっともなことと思う。

 

その上、究極の核戦争の危機と言う現実を見せつけられると「備えあれば憂いなし」という言葉を思い出す。

と同時に核抑止力まではそういうことだが、ボタンを押してしまえば、通常戦力がなんら役に立たないのだということは誰にでもわかる。

ならば、武力放棄かと言えば、ロシア侵攻を見ていれば通常戦争には打ち勝つ戦力は必要だとも思う。

小国独裁国家北朝鮮が核開発に血眼になるのもむべなるかなとも思う。

初夏の花4



こうした中で、憲法記念日前日の5月3日朝日新聞世論調査結果を発表した。

憲法に関する質問と回答を抜粋すると

憲法9条を変える方がよいと思いますか。変えない方がよいと思いますか。

変える方がよい33、変えない方がよい59

 

*今の自衛隊は、憲法に違反していると思いますか。違反していないと思いますか。

違反している14、違反していない78

 

*今の日本の憲法は、全体にとして、よい憲法だと思いますか。そうは思いませんか。よい憲法58、そうは思わない32。

 

*今の憲法を変える必要があると思いますか。

変える必要がある56、変える必要はない37

 

この世論調査結果から、現代日本人の優れて客観的な視点が理解できてうれしい思いがした。

時代に合わなくなった憲法を改正するべきだとする多数意見と同時に、憲法9条を変えなくてよいという意見が多数を占める日本人のバランス感覚が素晴らしい。

そんな社会を作っている日本という国も素晴らしいと思う。

日本国憲法の平和主義が理解されているのが心強い。

多分、こうした理解を進めていく以外に、人類の生き残る道はないのではないかと、ダッチロールをしながら今日の結論にたどり着いた。

 

甘い!

甘くてもよいではないかと開き直ったのです。

 

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