令和4年年明け早々、将棋王将戦7番勝負が始まった。
第1局は1月9日、10日だった。
渡辺明王将に藤井聡太竜王が挑戦する現在の将棋界最高の組み合わせとなって、将棋愛好者はもとより、将棋を知らない人も10代で将棋4冠を手中に収めた藤井竜王の活躍に大きな期待を寄せて盛り上がっている。
スカパー囲碁将棋チャンネルで終日の生中継を観戦して楽しんだ。
私の少年時代は将棋が一番身近な室内ゲームだった。
少年たちの多くはハサミ将棋や金転がし、山崩しなどから始まって、本将棋を覚えていた。
私の孫のK君は小学5年生になるが、3年生の頃から将棋に興味を持って、クラスで2番目に強いというので、歩と金だけのいわゆる8枚落ちで指してみた。
本人は大いに不満そうだったが、負けて納得したのか、しばらく8枚落ちで指して、今は金銀と歩の6枚落ちの将棋に昇格して、私は生きているうちに平手(ハンディなし)で指したいという願望を持っている。
私の場合、特に父が将棋好きで強かった。
愛好者同士で徹夜で指していた。
将棋指しが訪ねて来ると母は不機嫌になった。
貧乏所帯で酒、肴を用意して一晩中、将棋を指されてはたまったもんではなかったろう。
父とは1万局以上の将棋を指した。
父は94歳で亡くなったが、亡くなる前に指した最後の将棋は私が負けた。
私は今はAI将棋を初段クラスで指しているが、父はAI将棋など人間に敵うはずがないと馬鹿にしていた。
取った駒を再度使えるゲームは世界のどこにもないと将棋の複雑さを自慢し、黒白だけの囲碁よりも複雑なゲームなのだと確信していた。
ところがAIの進歩は目覚ましく、人間はAIに勝てなくなり、プロの将棋棋士とAIの勝負は禁止となった。
生きていれば何と言うだろうと時々思い出す。
人間が機械に勝てなくなったことにより、将棋界は衰退するかと思っていたが、わからないもので、どっこい人間はAIにどれだけ近づけるかということに大きな関心が向かい、今では人間の勝負は勝負として、次の一手や指し手の展開予想はAIにさせて、人間がどう指し進めるか、その違いや行方を楽しむ将棋の楽しみ方もできている。
そして、このAI将棋の申し子のような棋士の第一人者が藤井竜王なのだ。
今や藤井竜王の次の一手とAIの予想がどれほど一致するのかを見定めることが将棋の楽しみ方の一つともなっている。
確かに、これなら将棋を知らない人や初心者の人も楽しめるし、将棋ファンを増やす一つの方策だろうと思う。
賢い人もいるものだとつくづく思う。
AIが人間との将棋を凌駕しつつあった時代のことを思うと、予想もしえない変化に驚くし、こうした共存の仕方を考えていくことが、これからのデジタル社会構築への大きなヒントになるような気がする。
さて、王将戦第1局はご存じのように、最後まで手に汗握るぎりぎりの攻防を見せてくれながら、最後は藤井竜王が15手詰めで渡辺玉を打ち取った。
藤井竜王の強さを改めて見た。
それでも、今朝(金曜日)の午前0時過ぎまで戦われた名人戦B級1組藤井竜王対千田翔太7段戦では藤井竜王は千田7段に敗れた。
将棋の世界の強豪たちの切磋琢磨に、田舎初段は時間を忘れて観戦させていただいている。
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