我が家のおやつの時間は毎日午後3時30分から始まる。
饅頭や羊羹、きんつばなどを半分分けして、コーヒーでいただきながら、録画したNHKの朝の連ドラを老夫婦で見る。
現在放映中の「カムカムエヴリバディ」と午前7時15分から再放送されている「マー姉ちゃん」と午後4時20分から再放送の「純ちゃんの応援歌」の3本建てを録画して、一日2本ずつ視聴している。
「マー姉ちゃん」は1979年4月2日から9月29日だから昭和54年のことだ。
私は32歳、NHKの朝ドラを見る時間も、多分、録画機器もまだ普及していなかったから見た記憶はなかった。
ただ、今見ると田中裕子のはつらつとした若さと清純な美形に今になって好印象を持った。
主演の熊谷真実よりも落ち着いて演じているように見える。
また母親役の藤田弓子のいかにも文学座出身の女優らしく、舞台で鍛えた骨太の演技が光る。
そして脇役陣に河原崎長一郎、前田吟、渡辺篤史、フランキー堺など芸達者をそろえて安定感があって落ち着いて見ることができる。
「純ちゃんの応援歌」は1988年10月3日~1989年4月1日だから昭和63年~64年、ちょうど昭和が終わるエポックメーキングの年だった。
私41歳、長年勤務した職場から異動した転機の時期だった。
従って、連ドラを見る余裕なんて全くなかった。
ドラマは敗戦から立ち上がる日本人の前向きな姿を描き、主演の山口智子が演じる小野純子のキラキラした健康美が素敵だ。
また、今のドラマ作りは、四方八方からもんだり、ひねったりの手のこんだ作品作りが目立つが「マー姉ちゃん」にしても「純ちゃんの応援歌」にしても、素直で明るい家庭ドラマは敗戦から立ち上がり高度経済成長期に向かう、まっすぐに生きる日本人の姿を映し出しているのかもしれないと思った。
そして今年の後期連ドラは「カムカムエヴリバディ」だ。
何を隠そう岡山を舞台にした前半のドラマはヒロイン橘安子(上白石萌音)の好演で盛り上がり、岡山弁を一躍有名にしてくれた。
何しろ、これまで岡山弁と言えばダサい方言の筆頭格だったから、地元のものにとってはうれしいような恥ずかしいような気持ちだ。
関東の友人からは岡山弁はやさしく聞こえるとお手紙をいただいたが、私は広島県から岡山に住み着いたので、初めて下宿のおばさんに「はよー、風呂へ入られー」「はよーせられー」とか言われると、命令されているようで怖かった思い出がある。
でも上白石萌音さんの岡山弁になるとそれはやさしさのこもった言葉なのだということがわかるような気がした。
確かに下宿のおばさんは怖い顔をしていたことも思い出した。
舞台は岡山から大阪に移り、娘るいの物語になった。
深津絵里さんがるい役を演じる。
さあどんな展開になるのか、老夫婦のおやつの時間は楽しい。
一年間ご愛読ありがとうございました。新型コロナウイルス、オミクロンの感染拡大が懸念されていますが、来年も引き続きご愛読よろしくお願いします。
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