熟年離婚する前に、知っておきたいことなどいろいろ

この用紙、初めて見た方も多いのでは。


先日の朝日新聞で、2020年の「熟年離婚」の割合が過去最高の21.5%という記事を読んだ。

「熟年離婚」とは「20年以上同居したカップルの離婚」ということ。

要は20年以上結婚生活を送った夫婦の中で21.5%が離婚したということだろう。

 

離婚件数全体で見ると2020年は19万3253組。

2002年の28万9830組をピークに減少傾向にあるが、厚労省が婚姻率も踏まえて集計したところ、結婚した夫婦の3組に1組は離婚する計算になったと書いてあったが、「えー本当」と耳を疑わざるを得なかった。

現代日本の夫婦のあり様はこんなことになっていたのかと改めて驚いた。

 

ただ、離婚件数が減っているのに、結婚した夫婦の3組に1組は離婚しているというのは?どういうマジックかと調べてみたところ、離婚率は「結婚したカップルが最終的に離婚してしまう」確率ではなく、人口千人当たりの離婚件数ということだ。

何だかややこしくて、頭に入らない。

2020年の婚姻件数は525490件、離婚件数193253件からほぼ3組に1組が離婚するとやや乱暴ではあるが、予測したのかと理解した。

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実は私は、現役を引退してから、家庭裁判所が募集する家事調停委員に応募して採用され、数年間働いたことがある。

調停委員は原則40歳以上70歳未満の人で、弁護士や大学教授、元裁判官など各界の専門家とともに、民間勤労者や行政・教員出身者などの主に退職者や家庭の主婦など多士済々の人たちで活気があった。

家事調停で扱う事件は主に離婚調停と遺産分割だった。

 

離婚はご存じのように、協議離婚か調停離婚で手続きを進める。

協議離婚は当事者の自由意思で離婚届に同意して署名捺印し、市町村の窓口に提出すれば受理されて離婚が成立する。

従って、「こんな男(女)とは一日も早く別れたい」と離婚届に署名捺印して提出すれば離婚は簡単に成立するが、冷静になってみれば、当事者双方には署名捺印すればだけで済ませてはいけない問題がたくさんある。

子供はどうするのか、親権者は誰がなるのか。

子供の養育費はどうするのか。

子供との面会交流をどう決めるか、離婚するまでの間の生活費はどうするのか。

結婚後に二人で作った共有財産をどうするか。

年金分割はどうなる、慰謝料が発生しているのではないか等々、決めるべきことは山ほどあるのだ。

 

当事者間に離婚トラブルがある場合は、当事者間の問題を整理し、離婚への協議を整えるために調停制度がある。

協議離婚できないときは、裁判に訴える前に、調停離婚を申し立てることになる。

これを調停前置主義といい、調停を経ずに、すぐに離婚訴訟を提訴することはできないことになっている。

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でも、私の経験では、当事者双方が協議を整えた後に、協議離婚に進むのではなく、家裁に調停を申し立てしたケースがあった。

当事者は協議の内容を裁判所が公認した文書が欲しかったと言った。

調停が成立すると調停調書が作成される。

これは判決文と同様な効力を有するお墨付きなのだ。

この若い人たちは正しい選択をしたものだと感心した。

 

私も退職後ひょんなことから調停委員となったが、こんないい制度があることをなってから初めて知った。

 

そして、調停委員卒業後、町の何でも相談所で月に1~2度ではあるが相談員として、皆さんの電話相談に応じている。

ここでも、やはり熟年離婚の相談は多い。



そんな中での二つのケースについて例示的に紹介します。

 

一つは、もう長いこと家庭内別居の状態で、夫婦各々年金を受給して、一つ屋根の下でそれぞれがそれぞれの生活をして暮らしていると女性は言った。

何のために同居しているのかわからない。

こんな生活を続ける意味はなく、離婚したいという。

 

私は、上述した離婚制度について説明し、協議離婚が進まない場合は調停離婚を申し立てることになると説明したが、それぞれの年金は自分の生活が維持できるだけの受給額があるようで、第三者に夫婦関係を説明したり、裁判所で知り合いに出会ったりなどを気にして、調停離婚は気が進まないようだった。

また、経済的に余裕がある場合に、あらためて他人の前で言い争ってもなあという思いもわかる。

そして、年金分割の制度が導入されてからは、厚生年金部分の年金分割が制度化され、年金額の多い方から少ない方へ配分されることになったので、女性のほうの年金額が多い場合には等々、様々な計算が働くことになる。

というようなこともあり、もろ手を挙げて調停申し立てを勧めるつもりはない。

一応の手続きの概要を説明したら、相談者は「わかりました」と言って電話を切った。

キャリアウーマンとして働いてきた自信を持っているようで、相手に何かを要求するというようなことは考えていない、もしくは考えたくないというような意思が感じられた。

残留かもが一羽



もう一つのケースは、すでに別居生活を始めており、生活費は要求通りの額を受け取っているという。いわゆる婚姻費用分担金だ。

妻の離婚意思は固まっているが、今すぐには離婚はしないという。

理由は夫の退職を待って、調停を申し立てをして退職金を要求するということだ。

いわゆる財産分与である。

婚姻後に形成した財産は基本的には財産の半分わけすることになることや、厚生年金部分の年金分割などはすでに学習済みだった。

調停制度について説明し、弁護士に依頼したり、法テラスや行政などの無料法律相談に事前に相談してみることなどを案内しておいた。

 

いずれにしても、熟年離婚、いざとなったら無料法律相談で知識を蓄え、いざ、調停申し立てが王道だと私は推奨したいと思います。

 

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