それから一行は、再び故郷の東城の街に戻り、町内を一周し我が家の跡地にさよならし、道の駅「ゆうゆうサロン」でお土産など買い物をして一路福山方面に南下した。
かっての広島県豊松村(現神石高原町)で東に向かい岡山県高梁市に入った。
車内では子供の頃親父がこの豊松村でマツタケを大袋一杯買って帰った話で盛り上がった。
高梁市は昨日は松山城に行ったけれど、今日は旧成羽町にある成羽美術館に行く。
成羽美術館では成羽町出身の児島虎次郎の「児島家三代展」が開催中である。
児島虎次郎は岡山県を代表する洋画家。
倉敷大原美術館の洋画収集に貢献し、大原美術館別館には児島虎次郎記念館がある。
すでに正午を過ぎており、まずは腹ごしらえと、昨日高梁市内で食べることができなかったお蕎麦を、今日は成羽の「花野」というお店でいただくことにした。
高梁の人気店の口コミを読んでいたら
「高梁に行くとイタリアントマト焼きそばにするか、花野のお蕎麦にするか、いつも迷う」
とあった。
今回の旅行では、二つとも味わうことができたことになり、偶然とはいえグルメ好きとしては得した気分になった。
ただ現実はどうか。
昨日のお好み焼き店「五万石のイタリアントマト焼きそば」は私は食べていないけれど、珍し好きのカミさんが注文して、高評価の感想だった。
お店は江戸時代の成羽藩の武家屋敷を元に整備されたようで、お蕎麦屋として情緒十分な雰囲気だった。
座敷にテーブルが数か所あり、どのテーブルも埋まっていた。
私たちはほとんど待つこともなく入店出来てラッキーだった。
多分昼時で行列ができているのだろう。
食べ終わった後からすぐに席は埋まって行った。
私は「おろしそば」大盛を食べた。
「大盛は多すぎないかな」と店の人に聞いたら、
「そうでもないですよ。少なめです」という返事だった。
少なくて大盛500円は高すぎないかという値踏みを一瞬してしまった。
でも蕎麦好きの私は大盛を頼んだ。
弟は気を利かせてビールを注文してくれた。
弟は「鶏せいろ」。
さて、お味の方はというと、頑固な食通の弟は、大変辛口の表現をした。
私の感想は蕎麦は喉越しと言うけれど、ここの蕎麦のザク、ザクと塊を切るような歯ごたえ感が独特で、蕎麦を噛み応えで表現するのはそば通のルール違反かも知れないが、非常に印象的でその感触にひかれた。
そばつゆも出汁がよく利いて、私は美味しくいただいた。
姉たちは蕎麦の香りを高評価していたが、香りに鈍感なのか、私は、そこはあまり感じなかった。
それから成羽美術館に向かった。
成羽美術館は、成羽町時代に世界的な建築家の安藤忠雄氏の設計で建築された。
コンクリートの打ちっぱなしで、荘重感のある落ち着いた雰囲気が漂い、当時の成羽町の心意気が伝わってくる建築だ。
現在開催中の特別展は
「芸術の系譜児島家三代展ー児島虎次郎・児島塊太郎・児島慎太郎ー」だ。
岡山県人としては児島虎次郎は県立美術館でも、大原美術館でも常設されており、私は絵画に特別近しいものではないけれど、よく見ているので今回も親しみを込めて鑑賞できた。
最近の美術展では高名な画家の作品もカメラ撮影が許可されていることが多く、今回も何枚か記念にスマホカメラで撮った。
それから今夜は倉敷美観地区に泊まるという超元気な80代媼をホテルまで送り今秋の再会を約して別れた。みんなもうしばらく元気でいようね。
そして私たち夫婦も岡山駅まで送ってもらって帰宅したのだった。(完)
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