五爺が行く、山形食べ歩き、飲み歩きの旅(その2)

山形城のお堀


2月20日(月)朝6時過ぎにウオーキングに出る。

エレベーターを降りたら弟が立っていた。

4時30分ころ起きて走ってきたという。

弟は50代にはマラソンで3時間を切っていた。

マラソン校長としてテレビ取材も受けたことがあった。

 

ホテルの北側に山形城跡があると教えてくれた。

弟が教えてくれた通りに歩いて行くと、木立が見えたので進んでいくと城跡の石垣が見えてきた。

中に入っていくと意外に広い城郭の跡地が広がっていた。

調べてみると、姫路城より広い全国有数の平城とあった。

場内に建設された体育館の前で20人くらいの人たちがラジオ体操をしていた。

山形の方は大人しく、こちらから挨拶しても反応が乏しかった。

ゴミ拾いボランティアのおばさんは小さな声で「おはようございます」と返してくれた。

 

今日は最上川舟下りだ。

予定通り山形駅発8時42分に乗車した。

新庄駅まで行き、それから無料送迎バスに乗る。

今日は平日なので電車は空いていた。

昨日荒木そばを食べに下車した村山駅を過ぎたころ、幹事のHちゃんのところに電話がかかってきた。

幸い車内は空いているので、小さな声でHちゃんは話していた。

 

我々も耳をそばだてた。

「それは大変ですね‥‥いえいえ‥‥はい‥‥大丈夫です‥‥お大事にしてくださいね」こうした会話が切れ切れに聞こえてきた。

誰もが訃報でも入ったかと思うような会話だった。

電話が終わったとたんに皆が一斉に「なんだって!」と声を上げた。

Hちゃんは「船頭さんから電話があって、今日の舟下りは天候不良のため中止だって」とか細い声で言った。

最上川。こんな景色を見られるはずだった。


「なーんだ。てっきり訃報の連絡かと思ったよ」と皆口々に叫んだ。

 

それにしても、江戸時代から続いた大百姓を系譜に持つ社会福祉法人の跡取りとして育てられたHちゃんは悠然としたものだった。

私のようにこせこせとしていない。

私などだったら「今そちらに向かっているところなのに、そりゃあ切ないよ。」くらいはひとくさり言うところだけど、皆、Hちゃんの対応には感心しきりだった。

 

急遽の計画変更となったけれど、流石に今日のB案は予定していなかったようで、新庄駅に着くとすぐに市の観光案内所に向かった。

観光案内所では、せっかく、ここまで来たのだから最上川だけでも見て帰ろうと提案してみたが、歩いてはとても行けない。

タクシーで20分はかかると聞いて、皆すぐに断念した。

そこでお昼ご飯の美味しいところを聞くと即座に返ってきたのが「末広ラーメン」だった。

観光案内所一押しがラーメン店ということで、皆即決した。

末広ラーメンの看板。



末広ラーメンは新庄駅から歩いて10分弱のところにあった。

私が店の前に立った時、我らが同胞はすでに店内に入っていた。

中年の男性が新聞を片手に立っていた。

ちょっといかつい感じの人だった。

私は彼に「入らないんですか」と聞いた。

すると彼は「のれんが出ると開店です。」と柔らかい口調で教えてくれた。

私はすぐに入口の引き戸を開けて連中に「おいおい、まだ開店してないんだぞ」と大声を発した。

すぐにみんなが出てきた。

開店は10時30分。まだ10分ほどあった。次々と行列ができてきた。

10時30分過ぎに店の人がのれんを手に持って出てきた。

それを合図に五爺は入店した。



テーブル卓が3つほど、奥に座敷があったかもしれない。

のれんを出してきた40前後の中年男性が注文を取りながら

「中華そば、中華そば全部、全部、全部、ありがとう、ありがとう、ありがとう、ありがとう」と符牒のように連呼する。

何が何だかわからないままに我々のうち、4人はスタミナ(トリモツ)ラーメン、弟がメンマラーメンを注文した。

 

私はすぐに冷蔵ショーケースからビールを勝手に取り出した。

そんなことが許されるような雰囲気がお店に漂っていた。

Bちゃんが「アニイ、アニイ」とショーケースを開けっぱなしにした私を注意した。

すまんすまんと謝る。

ラーメンにはビールと私の頭はそのことで一杯だった。

新庄祭りがユネスコ文化遺産になったそうだ



厨房をのぞくと注文を取っている男性のお母さんのような方がラーメンを作っていた。

調理は女性陣の役割のようだった。

ラーメンができてきた。

透明感のあるスープに魅かれた。

ただ、トリモツ以外の具材は入っていない。

まったくシンプル。こんなラーメン食べたことない。

メンマラーメンの弟もメンマしか入っていないと言った。

 

そこでやっと理解した。

メンマラーメンにチャーシューとか入れたい具材を一緒に注文しないとメンマだけのラーメンになるのだった。

全部、全部、全部というのはチャーシュー、メンマ、トリモツなど全部入れるということが分かったのだった。

 

後を引かない、このすっきりした味わいのほどの良さは何ということか。

味や麺の触感などすべてにわたって押しつけがましくなく、媚びるでもない。

これは病みつきになるうまさだと思った。

次回訪れるときはぜひ全部全部全部を食べたい。

ありがとう、ありがとう、ありがとう、

そして写真を撮り忘れてしまった。

 

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