処方箋がない、八方ふさがりの日本は何処へ行くのか

好調の夏野菜


2013年、第二次安倍政権は大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略の「三本の矢」を柱とするアベノミクスを発表した。

特に15年間続いていたデフレからの脱却を政権の最重要課題に掲げ、日銀は2%の物価目標(インフレターゲット)を「できるだけ早い時期に実現すること」を柱とする政府との共同声明を発表した。

 

ところが、黒田日銀総裁が叫んでも、叫んでも、笛吹けど踊らず9年間を費やしたのだ。

今年4月分の消費者物価指数は初めて前年同月比2.1%の上昇、消費税率引き上げの影響を除けばじつに13年7か月ぶりの上昇となり、5月2.1、6月2.2、7月2.3(%)で連続4か月、2%を超えた。

ただ、この上昇は、日銀の努力というよりも、ロシアのウクライナ侵攻や円安の進行、原油など資源価格の上昇などの外部要因であり、もろ手を挙げて喜べるわけではないようだ。

 

従って、物価目標を達成して、これで金融緩和政策は終了するのかと思いきや、7月21日の黒田総裁の会見では「経済を支えるため、金融緩和を続ける必要がある」との考えを示したとあった。

 

はて、物は言いようである。

 

そして朝日新聞によれば、先進各国では消費者物価の上昇のインフレ懸念に対して、利上げによる金融引き締めに入ったのだが、こうした中で経済学の常識に反して、日銀だけが金融緩和を続けている。

その結果、円が売られ、今月半ばには1ドル=139円と約24年ぶりの円安水準をつけた。

 

円安は、エネルギーなどの価格高騰に拍車をかけ、家計や企業の負担を重くしているが、黒田氏は

金利をちょっと上げて円安が止まるとは到底考えられない。

金利だけで円安を止めようとするなら大幅な金利引き上げになって、経済にダメージになる」と指摘。

金利を引き上げるつもりは全くない」と、緩和策の修正について完全に否定した。

と記事にあった。

 

まさか、金利だけで円安を止められるとは誰も思ってはいないとは、素人の私にでもわかることだ。

ただ、円安が進むことによる様々なリスクを、どのような対策で切り抜けるのかを示してもらいたいのだ。

円安が進むということは、円の価値が下がる、円への信頼度が下がる、国家の評価が下がっていくことなのだろう。

それでいいのかと疑問に思うのは当然ではないかと思う。

 

だが、実は日銀には金利を上げられない大きな理由がある。

今、日銀黒田総裁は国民に正直にその説明をすべきなのだ。

ゴーヤも元気

経済評論家で元参議院議員の藤巻健司氏が文芸春秋7月号の中で説明している。

 

「現在、日銀にある民間の金融機関の当座預金額は合計で563兆円。

そのうち約半分の金利がおよそ0.1%、残り半分はゼロ金利で預けられています。

この当座預金金利を1%上げると、日銀はその分の利息を金融機関に支払わなければなりません。

563兆の1%ですから、およそ5.6兆円です。

 

一方、日銀の昨年の収入を見てみると、たった1兆4000億円。

債務超過のための引当金や準備金も合わせて10兆円程度です。

2年で負債額が資産の額を上回ってしまう。

つまり日銀は債務超過に陥ってしまうのです。」

 

また、国も1000兆円を超える借金を背負っており、1%の金利負担10兆円をねん出する財源などありはしないし、さらに国債発行し、日銀でお札を刷るしか方法はない、もはや日銀には打つ手がないと言わざるを得ない。

従って、「金利を引き上げるつもりは全くない」という黒田発言にならざるを得ないのだろうと承知するに至るのだった。

 

三本の矢のもう二つの「機動的な財政政策」と「民間投資を喚起する成長戦略」も日本の復活を支える柱と言える政策は何もなく終わった。

 

 

 

トウモロコシはまあまあ



それにしても、自民党は強い。

このような八方ふさがりになったほとんどの責任は自民党とその代表者たる総理、内閣にある。

としても、それを支持してきたのは誰であろう日本国民なのだ。

その意味では一蓮托生も致し方ないのかもしれない。

 

今回の円安、物価上昇、金融緩和政策の継続による国家財政の破綻の危機などについて、ほとんどの専門家はいつ来るかもしれない破綻は恐らく止めようがないという口ぶりだ。

いろいろと遠回りな言い方ではあるが、もはや処方箋がないのだと実感する。

 

国はもっと国民に実態を説明しなければならなかったし、不足分を国債(借金)で賄うのではなく、歳出に見合った負担を求める政権選択選挙で国民の意思を問わねばならなかったのではないかと思う。

 

 

国債を発行して、刷り続けるお札で日銀に国債を買わせるという、借金乱脈経営で日本国は延命していただけにすぎない。

その評価が急激な円安という国際評価なのだ。

 

先の藤巻健司氏はBS-TBS報道1930で、怒りをあらわにもう打つ手は尽きているという。

藤巻氏は一刀両断に日銀は債務超過になり、破綻するという。

そうなると日銀が持つ国債保有額500兆円超は紙くずになり、民間の金融機関から預かっている当座預金額合計563兆円も引き出すこともできなくなり、民間金融機関は預金者への支払いが困難になるのだろう。

 

要は個人金融資産2000兆円もほぼ引き出し困難であり、円の暴落によりブレーキの利かないハイパーインフレに見舞われてしまう。

卵1個が1万円、10万円、100万円となるのだから、円の価値はない。

藤巻さんは今から外貨、米ドルを蓄えておくべきだと勧めている。

破綻がもうそこまでに迫っているのだという。

 

でも、振り返れば、つい30年前には日本にバブルの時代があり、1989年12月には株価は38900円に達し、三菱地所はニューヨーク・マンハッタンにあるロックフェラーセンタービルなど高層ビル群を買収し、アメリカ合衆国は「陽はまた沈む」と形容された時代でもあった。

マイクロソフトMicrosoft Officeを発売したのが、1990年。

グーグルが設立されたのが1998年、アップルが「iMac」を成功させたのが、1998年であり、日本のバブル崩壊アメリカ合衆国の復活ののろしがV字に交錯した時代状況だった。

甘長ピーマンとミニトマト



また、日本史家の磯田道史氏は文芸春秋2013年10月号の中で「安倍首相は江戸の改革者に学べ」と備中松山藩の改革者・山田方谷(やまだほうこく)を取り上げた。

10年足らずで、松山藩5万石の借金10万両を返済し、逆に10万両の貯蓄金を積み上げた。

この改革で一揆が頻発することもなかったと称賛した。

そして、最後に安倍首相に提言したいとして、「方谷の改革が成功したのは、陽明学者として人格もすぐれた方谷自身の力も大きかったが、農民出身の方谷を執政に取り立て、これを信じて任せ続けた藩主・板倉勝静の不動の心も大きい。

改革の成否はやはり人にある。」と綴っている。

 

当面の行きつくところは破綻であっても、よき人材を発掘できれば、再び立ち上がれる可能性があるような気はしてきた。

モロヘイヤのお浸しで夏を乗り切ります。



でも、老い先短い私である。

時間がない。

さあ、どうする。やっぱり百姓に戻ろうか。

終戦後、国民はコメ、野菜を求めて農家を歩いたのだった。

何といっても食べることが先だなと今日の結論に達したのでした。

 

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