さようなら 安倍(元首相)さん 安らかにお眠りください

植え込みに咲くアガパンサス


参議院選挙の最終盤、7月8日、奈良市において選挙応援演説を始めた直後に、安倍さんは凶弾に倒れ、意識を回復することなく死去された。

まさに青天のへきれきだった。

安倍元首相は自民党最大派閥の長として、日本のキングメーカーを自負した絶頂期の出来事だった。

その存在、主張は首相として在任していた当時とは、また、ひとつ重みを増し、盤石の地盤を築いたような自信にみちあふれているように見えた。

 

その日の正午過ぎ、友人から電話が入った。

その第一声は「安倍(元首相)さんは(国民を)なめていたんだよ」という発言だった。

私は、すぐにはその発言の意味がわからなかった。

話を聞いていくと、安倍元首相の振る舞いにはことごとく、おごりや油断があった。

それが、SPも警察にも伝わり警備体制の弛緩、すきを生んだという。

マスコミも国民もイベントを見る様なお祭り感覚だったし、そのような弛緩状態を生んだ張本人がまさに安倍元首相の振る舞いだったのだという話で、ようやく納得した。

 

そして参議院選挙は弱小野党相手とは言え予想を超える、自民党の圧勝に終わった。

もちろん非業の死を遂げた安倍さんへの哀悼の投票も圧勝の一因になったと思う。

通夜や葬儀に集まった民衆の姿は安倍嫌いとは対極となる、育ちの良さを感じさせる安倍さんの笑顔やおおらかそうな態度への追慕があったように思う。

 

憲法改正を旗印に長期政権を打ち立てた安倍元首相は、参議院選挙圧勝の置き土産と憲法改正発議への道筋を示して去って行ったのだった。

赤いカンナの花

それにしても、振り返ってみると、安倍元首相は第一次政権こそ、1年ほどで政権を放り出したけれども、第二次安倍政権は2012年末から約7年8か月に及ぶ、憲政史上最長の政権となった。

 

この間、外務省出身者を内閣法制局長官に起用し、集団的自衛権の行使容認の憲法解釈の変更をはじめ、経済政策ではアベノミクスと呼ばれる超金融緩和政策を推進し、普通国債残高は2022年度末1026兆円に上り、返済するあてなど全くなく、国債を発行して、日銀に買い取らせて、予算を編成しなければ予算を組むこともできない状況に陥っているのだ。

2022年度の国の予算107.6兆円のうち1/3は国債等の借金で賄われている。

このような国家の信用力はどんどん低下して、為替は1ドル139円近辺にまで下がり円安が急激に進行しているのだ。

 

また、安倍元首相在任中の森友・加計問題や桜を見る会、特定の人間を検事総長に据えようと意図した東京高検検事長の定年延長問題、さらに河井国会議員夫妻の公選法違反事件など欺瞞に満ちた政権運営や私物化を連想させかねない問題も相次いだ。

私はこれまでのブログで安倍さんの問題については10指に余る記事を書いてきた。

 

こうした不祥事が続いた挙句に、持病の悪化を理由に、第一次政権時の放り出しと同じように突然の辞任となった。

しかし、安倍さんのカリスマ性やキングメーカーとしての存在感は二度の政権放り出しにもかかわらず根強い力を発揮していた。

その意味ではなかなか稀有な人、憎めないところもあったのかと思うところはある。



しかし、昨日、岸田首相は「安倍元首相の外交手腕や憲政史上最長の在任期間、そして暴力に屈せず、民主主義を断固として守り抜く決意示すこと、国内外から幅広い追悼・哀悼の意が寄せられているなど」を理由に国葬とすると表明した。

「これは何だ」と思ったのは私だけなのだろうか。

戦後、これまでに国葬とされたのは吉田茂元首相ただ一人である。

私も吉田元首相の国葬はもちろん覚えているし、終戦後の日本の復興に尽力した第一人者として、国葬とすることに何らの異存はなかった。

フロックスだろうか、これも路傍に咲いていた。



しかし、今回の安倍元首相については異存がある。

安倍さんがどのような成果を上げたというのだろうか。

8年8か月という憲政史上最長の期間、首相をしたことということを理由に挙げるのか。問題はどんな仕事をしたのか、どんな功績があったのかということではないのか。

安倍さんの大叔父にあたる佐藤元首相は沖縄返還に尽力し返還を実現させた大きな功績があったが、国葬ではなく国民葬だった。



その意味で言えば、北方領土問題はどうだ。

プーチンをウラジミールと呼び、安倍をシンゾーと呼んだ27回もの協議は、4島返還を2島返還にまで譲歩したにもかかわらず、何らの成果もなく袖にされてしまった。

また、北朝鮮拉致問題についても、期待感を持たせながら、結局何の進展もなかったのだ。

 

もちろん、大変困難な問題だとは思う。

ただ、国葬という評価に値するということは、そのような困難な問題を解決したことに対する、国民の畏敬と感謝の念を示すことではないかと思うのだ。

カンナの根元に咲いていた日日草



彼の非業の死についても、あのいかがわしい旧統一教会関係が起因してのことではないかというのは言い過ぎだろうか。

一票でも多くの票が欲しいのが政治家だという政治評論家の意見も聞いたが、旧統一教会のあの合同結婚式などを見て、何の疑念を持たない政治家を真っ当な政治家と言えるのだろうかと私などは思ってしまう。

 

いずれにしても安倍さんは良くも悪くも、騙されやすい、軽率な政治家だった半面、楽天的で愛嬌豊かな優しい表情も見せる政治家でもあった。

 

安倍さん、お疲れさまでした。

 

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