3回目の緊急事態宣言が発出されて、大方の予想通り12日から5月末日まで、愛知県と福岡県を加えて延長されることになった。
4月25日に3回目の緊急事態宣言が出され、その期限が5月11日と設定されたとき、専門家はもとより、多くの国民も短すぎる、とても5月11日で宣言が解除できるとは思っていなかっただろう。
この一年でこの新型ウイルスの現れ方は素人でも判断がつく程度には、みんなが学習したのだ。
わかっていないのは政府のお偉方ばかりなのだろうか。
多分、菅首相だけが裸の王様になって、ごますり近習の話にしか耳を貸さなかったのだろうと推測する。
こうした中、コロナ対策から見えた菅総理の限界を俯瞰してみた。
まずは、菅総理の言葉力・発信力の無さだ。
菅総理は個別・具体的なはっきりとした説明はしない。
多分、あえてそういう言い回しをして総理にまで上り詰めたのだろう。
阿吽の呼吸で私の言葉をつかめ、理解しろというのが菅総理の言葉の基本となっているのだろう。
断定的な結びの言葉は少なく、語尾は、「思います。思っています。」を多用する。
こうした発信力の弱さ、熱量のまったくない無責任な言葉の数々では国民の胸に響くはずもない。
立憲民主党の山井議員は「菅総理の頭の中はオリンピックファーストだ。ステージ3の感染急増、ステージ4の感染爆発でもオリンピック・パラリンピックは開催するのか」と質問した。
菅首相は「大変失礼だと思いますけど、私はオリンピックファーストでやってきたことはありません。国民の命と暮らしを守ることを最優先に取り組んできている。そこは念入りに言わせていただきます。」と珍しく気色ばんだ。
しかし、本当に国民の命と暮らしを守ることを最優先に取り組んできたといえるだろうか。
最大のミステークは、ワクチンに対する準備を怠ってしまったことではないか。
もちろん、このことは菅総理一人の責任ではないだろう。
歴代の政権の責任も問わねばならない。
ただ、このコロナ感染症は菅官房長官、菅総理がまさに当事者として、対応してきたことであり、1年以上にわたるコロナ災害の責任者として、世界の国々から周回遅れ以上のワクチン接種率となっている現状を思うと、とても同情するような言葉は出てこない。
まさしく、あなたは何をしてきたのかと言いたい。
今まさに毎日100人にのぼる死者を出す大惨事ではないか。
何がさざ波であろうか。
御用学者ばかり重用し、学術会議など優秀な専門家を軽視してきた結果であり、とても国民の命と暮らしを守ることを最優先したと胸を張れることではないことは明らかだ。
やはり、あなたはオリンピックファーストなのだ。
今回の5月11日の緊急事態宣言の期限設定といい、高齢者ワクチンの7月完了宣言といい、オリンピックファーストのための大号令としか誰の目にも映らない。
こんな状況でも政権を維持しようと懸命になっているのがあなたの姿だ。
さてどのように責任を取っていただけるのか。
また、今回の緊急事態宣言延長では、人流の抑制をうたいながら一方で、劇場やスポーツなどで観客を入れての観劇観戦は午後9時まで、デパートなどの大型商業施設は午後8時までの時短要請とした。
確かに、これまでのところ劇場やスポーツ会場などでのコロナ感染は発生していないようだが、こうしたブレーキとアクセルの使い分けが、人々の気のゆるみを生じさせている。
この気のゆるみの連鎖が緊急事態宣言を発出しても感染が収まらない大きな原因ではないのか。
特に変異株の出現は、外出はしていない、家族以外には会っていないというまったく感染源が不明というケースで感染が確認されているといい、観劇、観戦、大型商業施設などへの営業時間を緩和するエビデンスはないのではないか。
世界のコロナ対応をみても、結局、ワクチンが普及するまでは、徹底した検査と人流の抑制やロックダウンなどによりコロナを克服しつつあるのだ。
こうしたことを見ても緊急事態宣言のさなかに、対応措置を緩和する方向に舵を切るという菅総理の考え方に、この人の限界を感じてしまうのは私だけなのか。
すでに新型コロナ変異株は地方に急速に拡大している。
各県の知事たちはこの状況に緊急事態宣言やまん延防止等重点地域の指定を要請しているが、政権の判断は日々遅れて、先送りされている。
これでは、それこそ後手後手の菅政権といわれても仕方ないだろう。
菅総理は「人類が新型コロナに打ち勝った証としての東京オリンピックを実現する。」と宣言したことも含めて、今現在の日本の現状をしっかりと国民に説明すべきだ。
菅総理の常套句、
「問題ない」
「指摘はまったく当たらない」
「答弁することは控えるべきだろう」
「批判は全く当たらない」
等々念仏のような言葉の繰り返しでは、もう限界だ。
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