こんな形で安倍首相が政権を投げ出すとは思ってもみなかった。
前回の第一次安倍政権の時のことがあるから、誇り高いわが首相の政権投げ出しの二度目はないだろうと思っていた。
しかし、私の目論見は外れて、今回の辞任理由も最初の時と同じ、潰瘍性大腸炎の悪化で首相としての責務に耐えられなくなったということだった。
「平家にあらずんば人にあらず」というように「安倍政権にあらずんば政治家にあらず」というやりたい放題、し放題の政権だった。
しかし辞任表明以後は、安倍さんの動静は静まり返り、権力を手放すということはこういうことかと少し気の毒なようにも思える。
あの傲慢な表情、言動で国を牛耳った7年8ヶ月に及ぶ長期安倍政権は来週14日の自民党総裁選で新たな総裁を選出して終わる。
しぶとく政権を維持して、4選もありうるかと思っていたけれど、あっけないといえばあっけないものだ。
もう世の中は安倍さんのことは忘れたように、次期政権の盟主に向かって走り出している。
安倍さんはそんな世の中の表情を眺めながら口惜しさをかみしめているのか、ほっとされているのかどうだろうなと思ってしまう。
しかし、世間の人情というものはこんなに情緒的でいいのかと思ってしまうほどうつろいやすい。
辞任表明前の支持率30%台が病気を理由に辞任表明したとたん50%に跳ね上がった。
それにしても、よくよく考えてみればこのコロナ騒ぎの中での安倍首相の退任劇は誰が描いたのか知らないがグッドタイミングだったような気がしないでもない。
実はコロナがなければ、モリカケ問題から桜を見る会、検事長の定年延長や公職選挙法違反事件にまみれた河井夫妻への1億5千万円に上る選挙支援資金問題等々出口の全く見えない中で国会や世論の追及に晒されるところだった。
ところが、コロナの突然の出来事である。
もちろん、その対応の不手際の数々は批判の的になったが、予見しがたい数々でもある。
コロナの感染拡大防止と経済活動の維持支援という相反する取り組みについて、多くの問題が影をひそめ、薄まってしまった。
そして何を言っても野党の遠吠えにしか聞こえなくなった。
これはちょうどよいタイミングだと誰が入れ知恵したのか、安倍首相の辞任劇である。
来年に延期された東京オリンピック開催も困難視される中、安倍さんにとってまさにコロナに救われたというのは言い過ぎだろうか。
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