将棋の世界(棋界という)は藤井聡太君の出現で,将棋を指すというよりも将棋指す棋士を見るのが一大ブームになっている。AbemaTVでは藤井7段の将棋は無料でライブ中継している。
4年前、14歳2か月、史上最年少で4段に昇段し史上5人目の中学生棋士(プロ)が誕生した。
プロ入り後のデビュー戦は、棋界最初の中学生棋士で神武以来の天才とうたわれた加藤一二三元名人(76)だった。
そして、そのデビュー戦(2016年12月24日)を勝利し、その後29連勝するという快進撃を続け一躍、時の人となった。
因みに加藤名人は藤井新4段との対戦に敗れ、翌年(2017年1月19日)順位戦C級2組から陥落し棋界を引退する(同年6月20日)という絵に描いたような見事な新旧交代劇を演じたが、この人もひふみんと愛称されてマスコミに登場するきっかけとなった。
藤井4段はその後も順調に昇級昇段を重ね、各棋戦で大活躍し、現在棋聖戦で渡辺棋聖と王位戦で木村王位に挑戦しているのだ。
私たちの子供のころは将棋は金転がしや山崩し、ハサミ将棋に親しみ、最終的に本将棋を覚えていった。
父が将棋好きで、知人などが一升瓶を抱え訪ねて来ては一晩中指していた。
父は強くて、私が父に勝てたのは社会人になってからだった。
父が亡くなる数日前まで指していた。
父とは数千局は指したが、ようやく互角までにはなれたように思う。
父が入院する前、不安な様子だった父に「将棋でもするか」と問うとうなずいた。
でも最後の将棋に私は負けてしまった。
素人将棋とは言え勝負になると手加減など考えることはないが、集中力が欠けると凡手を繰り返したり、うっかりミスはある。
病人の父よりも私の方が集中力を欠いていたのだった。
しかし勝ち負けの世界は非情だ。
昔、プロ棋士が突然辞めた。
その理由は勝ち負けを続けることが苦しいということだったと記憶している。
すべてが己の責任の将棋という世界で、負けを引きずらない精神力こそが強さの証明なのだろう。
傍目八目の私たちの将棋でも負けて自己嫌悪に陥るのだから、辞めたプロ棋士の心情はわかりすぎる。
そして、そういうことからも超越して、冷静に局後の感想を語る高校生の藤井颯太はやはりすごすぎる。
将棋のAI化は人間のAI化を求めているのかも知れない。
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