最近しばしば新聞紙上で養育費の記事が目に留まるようになった。
一つは約束した養育費の不払いに対する先進自治体の取り組み、もう一つは養育費の算定基準の見直しのニュースだ。
実は私は数年前まで家庭裁判所の家事調停委員をしていた。
家事調停では主に離婚や遺産分割調停が対象となる。
離婚時に決めることは多い。
・離婚の意思
・親権
・財産分与、慰謝料
・養育費
・子との面会交流
・離婚までの婚姻費用分担などがある。
従って、養育費の記事が気になったのだ。
一つ目の養育費の不払いについて、兵庫県明石市の取り組みは画期的だ。
理由なく不払いを続ける人の中で、より悪質なケースには反則金に当たる行政罰の過料を科すという。
同時に養育費を受け取れずにいる一人親家庭に「養育支援金」の形で同額を給付するそうだ。
そして、不払い額を市が実質的に取り立てを担う形にすると記事にあった。
厚生労働省の2016年度調査では母子世帯で養育費を受けているのは24.3%、受けたことがないが56%と全く逃げ得状態になっており、この問題に一地方自治体が声をあげたことに私は本当に驚いた。
もう一つは昨年12月23日に国は養育費の新基準を定め公表したことだ。
新基準に基づく受取額は、月1万~2万円増えるケースが多くなるとあった。
とりあえず、子を養育する一人親の養育費が増えることは結構なことだが、しかし、考えてみればこれまでの低い基準で養育費の不払いが続出している中で、基準だけ引き上げてもほとんどのケースに実質的な恩恵は少ないような気する。
調停委員をしていた時に、年収の多い支払い義務者は別にして、多くの若い支払い義務者は手取り20万円ほどの給料で家賃を支払い、車などの月賦、必要経費を支払ったら食べるだけしか残らないと算定基準に不満を漏らした。
自分の子の生活費を負担するのは親の務め、真っ先に果たさなければならない責任ですからねと話しをしたが、確かに実際に生活するとなるとこれでは大変だろうなと思ったものだ。
不届き者も大勢いるのだろうが、低所得者のこういうケースの不払いも多いにちがいないとも思う。
従って、ある一定額以下の所得しかない場合は、国は公費補助も検討すべきではないかとここだけの話考えるのだが、それはそれで親の責任を放擲してしまう輩が増えるという批判もあるだろう。
ただ、いずれにしても子供は国の宝、特に少子化が進行する中で、貧困からできるだけ分けへだてなく、みんなで子供を守り育てる仕組みを作っていかなければならないのではないだろうか。
ランキングに参加しています。気に入っていただけましたら、
↓をクリックして応援してください。