八千草薫 逝く

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女優の八千草薫さんが亡くなった。

享年88歳だった。私より16歳年上だから同世代というわけではないが、長い間活躍されたので記憶に残る女優だった。

 

といっても彼女の映画を映画館で見た記憶はない。

宮本武蔵」のお通役、「男はつらいよ」の寅さんのマドンナ役などはテレビを通して見た映画だった。

 

彼女は確かに可憐で、可愛く、美人だったけれど、、きちんと主役を支えながら実は主役以上に輝いて見えて惹きつけられた。

 

私としては映画よりもむしろテレビドラマが強く印象に残っている。

先日の台風19号で河川に崩れ落ちる家屋の映像が映し出されて、テレビドラマ「岸辺のアルバム」が思い出された。

岸辺のアルバム」でもほとんど同じような場面があったのだ。大変印象的なシーンだったので長く記憶に残っていた。

 

ドラマでは杉浦直樹が夫、長女が中田喜子、長男が国広富之の4人家族だった。

普通のサラリーマン家庭の日常生活の中に起こる様々な男女関係を軸に物語が展開され、壊れそうで壊れずに元の鞘に収まる、最後はとりあえず、立ち直って行こうとする、高度成長期に向かう物語だった。

 

ただ、八千草薫竹脇無我との不倫に至る場面は物語の展開上挿入したのかも知れないが、説得力が感じられず、八千草薫像を貶めるようで少しやりすぎ感があった。

でも、役者の立場からすると逆に新たな役作りへの挑戦という意味があったのかも知れない。

 

最近のテレビドラマでは「やすらぎの郷」の九条摂子・姫で登場していた。

八千草薫の天真爛漫な演技やナスの呪い揚げの妙に真剣な表情などに単にかわいいだけの人ではない、大女優の風格があった。

 

セリフの頭や最後に同意を求めるような「ねぇ」という言葉が押しつけがましくなく聞こえるのは彼女の人の好さかもしれない。

この「ねぇ」はドラマの中でない、対談でもよく使っていたので、彼女独自の言葉遣いだったのかも知れない。

 

いずれにしても、老いても天然の美を失わない稀有な女優だった。

まだ、これからも当分、現在放映中の「やすらぎの刻」に登場されるようだ。

 

大女優の最後の演技をしっかりと見届けようと思う。

 

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