働き方改革と在職老齢年金制度の改革案から考えたこと

 

 

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国は65歳以上の働く高齢者の年金減額基準を現行の月額47万円から月額62万円超に引き上げる案を検討するという。

 

政府は70歳まで働きたい人すべての人に働けるように、企業に努力義務を課し将来的には義務化させる方針だという。

少子高齢化社会が確実に進行していく中で、高齢者の労働力がますます期待される、というよりもむしろ、頼らざるを得なくなっている証だろう。

 

要するに働ける高齢者は死ぬまで働いてもらいたいというメッセージだと私は受け取る。

そうでもしなければこの国を支えることはできないということだろうが、いまの日本の人口減少の進行を見るともはや遅きに失するのだ。

 

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戦前の産めよ増やせよではないが、もっと徹底した人口増対策を取らなければいけなかったのだ。

例えば、児童手当の大幅増額、妊産婦に対する支援の充実、出産後の育休期間や手当の大幅延長、保育園入園の保障等々女性が安心して出産でき、安心して子育てや復職できる支援制度を政策の第一位に設定しなければならなかったのだ。

 

今からでは遅いのかも知れないが、移民は嫌だといい、抜本的な政策を打たず、人生100年時代などキャッチフレーズばかりの政策運営を掲げて自己満足しているように見える。

団塊の世代の高齢者などすぐいなくなるのだ。

 

もちろん、就労意欲旺盛な元気老人が自分の意志で仕事に励むことには何の異存もない。

60歳定年制から65歳への定年延長と引き換えに年金支給開始が65歳となる中で、さらに70歳、それ以上の就労継続の方策として、国は在職老齢年金の減額基準の大幅緩和という人参をぶら下げるのだ。

 

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しかし、月額62万円超の月収をいただける65歳以上の高齢者がどれだけいるだろうかと考えてしまう。

私は65歳を超え、71歳まで働いたが、65歳を超えて来ると働く気力が急速に落ちてくる。

70歳を超えると、記憶力がとみに低下し、視力、聴力、体力の衰え、病気の発症などが大幅に増える。

普通の高齢者には普通の高齢者に払われる給与しか出さないのが当然であり、ならば、65歳を超える高齢者に月額20万円を超える給与を支払う企業がそれほど存在するとは考えられない。

 

もちろん、特殊な技能、資格の持ち主や会社への貢献に対する対価としての待遇を与えられる人は別であり、62万円超の設定などは、そういう人たちに対しての改革でしかない、まさしく高所得者への優遇策でしかないではないか。

 

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今、高齢者に対してとるべき対策は無年金者や低年金者で、生活上、働かざるを得ない高齢者への税制上などでの優遇措置の促進である。

その意味では今回の消費税引き上げに伴う措置として創出した「年金生活者支援給付金」月額5000円の支給は大賛成だ。

 

 

普通に年金で生活し、余った体力の活用として、また、生きがいとして就労する高齢者にとっては月額47万円の基準で十分ではないかと思う。

 

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