(その3からのつづき)
今夜は中華料理上海で盛り上がる。
『上海』の店主は、東京吉祥寺で17年間中華料理店を開いていたという。
東京で五島市出身の奥さんに出会い結婚したのだそうだ。
「皆さん、どちら?」と聞く。
3人が東京出身と知ると、奥さんも加わって大喜びした。
特に一人が成蹊大学出身と知るとほとんど興奮気味だった。
「成蹊の学生さんがたくさん来たよ。店が真ん前だったから」
「成蹊は安倍首相の母校だから」とヨイショするように店主は言ったのだが、安倍嫌いの成蹊ボーイは「一緒にしないでよ」と冷たかった。
前菜盛り合わせ、シュウマイ、餃子、小籠包、モヤシ炒め、マーボー豆腐、酢豚などと紹興酒。
特に追加で五島牛サーロインステーキ(5500円)を一枚焼いて切り分けてもらって、皆で食べる。塩コショウで味付けされていた。
美味しいは美味しいが、とろけるような肉質ではなかった。
私的には郷土愛から、岡山県千屋牛肉に軍配を上げたくなった。
ところで、ここのおかみさん、元慶応ボーイのしゃべる東京弁を聞いて「久しぶりに生粋の東京弁を聞いた。」とほほを染めるかのように、色白ですらっとした元慶応ボーイ見ながら誉め言葉を並べた。
確かに元慶応ボーイのしゃべる東京弁は、切れがいい、リズムがいい、啖呵を切るようにしゃべる。まさに江戸っ子だ。
心地いい元慶応ボーイの言葉に、おかみさんは魅せられたようだった。
店主が白磁のような丸いボトルを持ってきた。
「これ、うちのカミさんからの差し入れ、10年物の紹興酒」といって、封を開け皆に注いでくれた。
飲み比べると、我々が最初に注文した紹興酒との差は歴然としていた。
元慶応ボーイのスタイルの良さ、着こなしもあか抜けて、そして歯切れのいいべらんめえ調に、カミさんはしびれたのだろう。
確かに彼は我々並みのじいさんとは一味も二味も違う、スター性を持っているなとあらためて思った。
人間も紹興酒と一緒で、それぞれ違って、差はあるけれどそれがいいのだと負け惜しみで思った。
お会計は5人で2万円、やっぱりお安い、そして店主自慢の料理は美味しかった。今夜も五島の食事を満喫した。
上海を出てから、元慶応ボーイが言った。「実は俺 生まれは茨城(いばらき)なんだよな。丁度、親父が転勤で霞ヶ浦に一年いたときに生まれたんだ。だから霞ヶ浦の水で産湯を使ったって訳よ。」
従兄弟の誰もが初めて知ったことだった。
すっかり満足してカラオケに向かった。
カラオケは2時間。ほとんど懐メロ青春歌謡。
「青春時代」を大合唱してカラオケ大会終了。
帰途に就いた。
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