亥の子会……老いの自覚

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琵琶湖風景


昭和22・23年生まれの同学年で毎年、集まっている。

もう10年以上続いている。

当初から1泊2日で、広島、岡山、神戸、奈良、神奈川在住者の持ち回りで集まつている。

 

今年は、彦根近江八幡の旅を関西在住者が計画してくれた。

男女6人ずつ、12人が参加した。

 

幹事をしてくれたのは奈良在住のT君。

子供のころから学業優秀だった。

広島県の田舎の高校を卒業して、現役で関西の公立大学に進学した。

品行方正でもあり、みんな彼には一目も二目も置いてリスペクトしていた。

 

その彼が先ほど預けた駅のロッカーの前で素っ頓狂な声を上げた。

鍵を開けたら預けたはずの荷物がないのだ。

すぐに駅員のところへ飛んで行った。戻ってくるなり、「駅員じゃあ、埒が明かんよ」と言った。「ロッカー会社に直接電話するように言われた」と不平を漏らした。

 

それでも、年配の駅員がすぐにやってきて、「どのロッカー」といいつつ「はい、右のロッカーを開けて、左のロッカーを開けて」と大声で指示した。

 

我々老人は事態が呑み込めず、少しの時間右往左往した。

駅員は大きな怒鳴り声をあげながら「はい、右のロッカー、左のノッカー」と繰り返した。

 

私が左のロッカーに手をかけるとすっと開いた。

カバンが2個入っていた。

荷物を同じロッカーに入れていた女性が、「あったー」と大声をあげた

 

我々の中で俊秀と言われたT君は「すいません、すいません」と大汗をかきながら駅員に謝った。

荷物を入れたロッカーの隣にお金を入れて、鍵をかけたようだ。

鍵をかけたロッカーは空っぽ、鍵をかけていないロッカーにカバンを入れた状態だったのだ。

でも盗られなくて本当、不幸中の幸いだ。

お前も老化は一緒に来るんだと私はT君のおお慌てぶりを笑った。

 

でもT君だけの失敗をこの場で取り上げるのはフェアじゃないので白状しよう。

二つ目は私自身のこと。

 

この旅行、当初の計画から予定変更があり、解散時間が大幅に遅れた。

私は帰りは京都からの高速バスを予定していた。

乗車時間が遅れるのでバス会社に変更の電話を入れた。ところが、バス会社からは「お客様のチケットは、昨日の往復便となっており、本日の変更はできません」という答えだった。

 

何を勘違いしていたのか、なぜ確認を怠ったのか、結局、退職老人の節約法を皆さんに吹聴したことを恥じる結果になってしまった。

 

ここだけの話。